1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03451042
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡部 洋 東京大学, 教育学部, 助教授 (30141998)
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Keywords | 小論文 / 評定者信頼性 / 評定値の構造 |
Research Abstract |
本研究は、まず過去に得られた小論文評定値のデ-タを、いくつかの観点から再分析することから始められた。その結果、とくに文字の巧拙が小論文評定にどのように影響するかという点について、いくつかの知見を得た。まず、文字の上手さは評価値に有意に影響するであろうこと、および評定者が採点する際の得点化の非常に具体的な手がかりを与えうるということである。また、とくに読みにくい小論文には極めて低い評価値が与えられる可能性が高いことが判明した。そこで、新たに「国家について」という表題のもとに、多数の小論文を入手し、それらをワ-ドプロセッサ-に入力して、もとの答案とワ-プロ出力による答案との評定値の比較を行なうことにした。その結果の分析は、今年度から来年度にかけて行なう予定である。 さらに、もう1つの課題として、小論文評定デ-タの測定論的評価のためのモデルの構築を試みた。その過程で明らかになったことは、従来しばしば用いられている変量模型の分散分析を用いての測定論的評価には、いくつかの理論上および実際上の問題があることが判明した。そこで、従来のいわゆる標本理論を用いての分析は、結果を得たところで一応の終了とした。そのかわり、ベイズ線型モデルを用いての分析を開始し、その結果は現在の所かなり良好という感触を得ている。
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