1991 Fiscal Year Annual Research Report
Rett症候群における自閉性障害の本態解明とその教育効果に関する研究
Project/Area Number |
03451045
|
Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
友久 久雄 京都教育大学, 教育学部, 教授 (40093348)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 正己 京都教育大学, 教育学部, 助教授 (70213741)
|
Keywords | Rett症候群 / 折れ線型自閉症 / 障害児教育 |
Research Abstract |
本年度は、Rett症候群の疫学的調査のために、アンケ-ト用紙の作製発送及びその回収を行い、以下の結果と問題点が明らかになった。 まず、現在のところ回収率が低いので結論はでていないが、内外の文献にくらべ発病率が低いように思われる。この結果は、調査項目に含まれる診断基準及び調査対象(主に精神薄弱及び肢体不自由児の養護学校・障害児学級)が適正であったかどうかについての検討が必要であることを示している。特に診断基準においては、生育歴及び既往歴に対する未回答が多いため、出生前および周産期が正常であったという確認が得られていない(これは、今後親との面接調査で明らかにする)。また、自閉症の折れ線型との鑑別についても、運動機能の退行の有無により判断できると考えていたが、アンケ-ト用紙でみる限りでは、その判定が困難な場合がある。また、単に診断基準を一元的に採用するのではなく米国のワ-キング・グル-プの提唱するように、発症後の年令による経過(各stage)別診断が必要であることがわかった。というのは、このことは単にRett症候群であるかどうかの診断的意義だけでなく、その後の対象児への療育および教育的アプロ-チの方法を考える際にも重要なファクタ-となるからである。また、現在の診断基準では、対象児は女児のみということになっているが、症状でみる限り男児にも似たような経過をとる者があることがわかった。今後、これらの者に対する他の疾患との鑑別診断が必要である。 次年度以後は、これらの対象児に対して、訪問調査と医学的諸検査による確定診断を行い、診断が確定された者に対して、本研究費において改良されたV.T.R.記録解析装置による行動分析を行い、Rett症候群における自閉性障害の本態解明と教育的アプロ-チのあり方についての研究を続ける。
|