1992 Fiscal Year Annual Research Report
Rett症候群における自閉性障害の本態解明とその教育効果に関する研究
Project/Area Number |
03451045
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
友久 久雄 京都教育大学, 教育学部, 教授 (40093348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶川 裕司 京都外国語短期大学, 英語科, 講師
太田 正己 京都教育大学, 教育学部, 助教授 (70213741)
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Keywords | Rett症候群 / 自閉性障害 / 障害児教育 |
Research Abstract |
前年度の疫学的調査により得られた結果よりRett症候群と診断された者に対して以下のような観点から分析を行なった。 Rett症候群における自閉性障害と自閉症にみられる自閉性障害の行動分析から、両者の本質的な差異を明らかにし、あわせて教育的アプローチのあり方を検討する。 結果として、Rett症候群にみられる自閉性障害は、対象児の発達段階における変化が著しく、B.Hagbergらのいうstage2〜3においてその重篤度が強い(多くの者はstage2において最も重篤であった)。またこの時期は、彼らの運動機能においても以前獲得していたskillが失われるなど退行現象が著しい。この時期は同時に、視覚・聴覚などの遠受容器能力の退行も推察される。そして、この時期が過ぎると、Rett症候群における自閉性障害は軽減される傾向にある。 これに対して、自閉症児にみられる自閉性障害は、彼らの発達階段における変化は乏しく加齢とともに極めて徐々にではあるが改善される。また、運動機能や視覚・聴覚などの遠受容器能力も退行現象もほとんどみられず、むしろ運動機能の発達は、彼らの獲得する能力のうちで最も優れている場合が多い。 これらのことを比較検討すると、Rett症候群における自閉性障害は運動能力などの身体機能の退行期にみられる一時的な精神活動の自閉化傾向と考えられる。これに対して自閉症における自閉性障害は、彼らの精神活動にのみ見られる固有の特徴である。 以上のことから、Rett症候群に対してその自閉性障害を改善させるためには、身体機能の改善を含めた教育的アプローチが必要であり、次年度はこれらの課題に取り組んでいきたい。
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