1991 Fiscal Year Annual Research Report
老年層を中心とした過疎地コミュニティ-の再形成と維持に関する社会人類学的研究
Project/Area Number |
03451051
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
松園 万亀雄 東京都立大学, 人文学部, 教授 (00061408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 眞夫 佐賀大学, 教養部, 助教授 (20136576)
清水 芳見 東京都立大学, 人文学部, 助手 (10216111)
伊藤 眞 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (60183175)
渡辺 欣雄 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (90103209)
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Keywords | 老人層 / 過疏地 / 老人クラブ / 離島 / 社会変化 / 村落構造 / ゲ-トボ-ル / 社会福祉協議会 |
Research Abstract |
本研究は、社会人類学的手法に基づくフィ-ルドワ-クをつうじて、老年層を中心とした過疏化社会の構造を実証的に明らかにしようとするものである。平成3年度は、いずれの研究者も、それぞれ東京都小笠原諸島父島、母島、沖縄本島、長崎県五島列島、鹿児島県甑島および青森県下北地方、新潟県上越地方において、老人クラブに関する資料収集を中心とした調査(クラブの成立過程、現在の活動状況、組織の運営のされかた、成員資格等)およびクラブを構成する老人個々人に対する聞き取り調査を行なった。その結果、老人クラブの活動がどの程度活発であるかは、1.町村の総人口に占める老人の割合、2.町村や社会福祉協議会の老人クラブの活動に対する支援体制および財政補助、3.町村の生業形態(生業形態と老人クラブのあいだには密接な関係がある)といった諸要因と深く関連していることが確認された。また、高齢に達していながら老人クラブに加入していない者が予想外に多数見うけられたが、そういった人たちというのは、老人だという意識をもっていない人たち、仕事をもっている人たち、クラブの活動に参加できないほど高齢な人たちである。ただ今回は、研究者の滞在期間が限られていたこともあり、老人クラブに加入していないこれらの老人たちについては十分調査をなしえなかった。したがって、平成4年度の具体的な調査は主としてこういった老人クラブに未加入の老人に重点を置いて行なうことになる。そのほかに、平成3年度の調査では、行政が設定した老人の定義と当該社会の伝統に根ざした老人の定義とが必ずしも同じではないことが判明したが、老人クラブに未加入の老人たちに聞きとり調査を行なうことで、両者の定義の違いがより一層明確になるものと考えられる。
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