1991 Fiscal Year Annual Research Report
近代における「交通」の変遷と文学・言語世界の相関についての研究
Project/Area Number |
03451067
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山口 隆夫 東京工業大学, 工学部, 教授 (40023618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯沢 英彦 東京工業大学, 工学部, 講師 (90230622)
菅原 克也 東京工業大学, 工学部, 助教授 (30171135)
浦 雅春 東京工業大学, 工学部, 助教授 (20193956)
井上 健 東京工業大学, 工学部, 助教授 (30121867)
市川 伸二 東京工業大学, 工学部, 助教授 (20176283)
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Keywords | 交通 / 近代文学 / 都市 / 交通機関の発達 / 空間的移動 / 社会的移動 |
Research Abstract |
本年度の主な目的は(1)研究資料収集、(2)収集資料の検討及び整理である。(1)については研究分担者各自の役割分担に従って作業が進められたが、各自の関心領域が非常に多岐にわたっていることから、具体的な資料の収集方法、選定等については各自に一任した。 代表者山口(分担ーイギリス近代)を始め研究分担者の殆んどは研究題材を近代文学の諸作品の中に求めている。従って対象作品の作者の伝記的事実に関する資料がまず必要であるが、本テ-マに於いてはそれら諸作品の時代背景としての交通の発達そのものがより重要な要素であり必要な資料は非常に範囲の広いものとなった。こうした資料をもとに、山口によるハ-ディ作品に於ける空間的・社会的移動の研究、市川(ドイツ近代)によるカフカと交通・交流の関連の研究、菅原(比較文学)による明治期の都市・交通機関の発展とその文学への影響の研究、等の多彩な方向づけがなされた。 また、交通の発達と都市の発達の密接な関連も無視できないことが全体の協議に於いて指適され、対象となる資料の範囲がさらに広まった。こうした広がりの成果の一例として、井上(アメリカ近代)による都市幻想小説研究の進行がある。井上は近代に盛んになったこのジャンルの小説類に於いて、交通がプロットにとってもシンボルとしても欠くことのできない要素であることに注目し、欧米と日本の比較文学研究の興味深いテ-マへと発展させている。 浦・中島両名は各々ロシア、東欧近代を分担しているが、本年度は当該地に於ける政治情勢の変動が著しく、それに伴って図書の購入、資料収集、調査作業等に思わぬ困難が生じた。その為具体的な研究対象の方向づけが多少遅れているが、当該地以外より予想外の資料が得られるという成果もあった。
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[Publications] 山口 隆夫: "Hardy小説に於ける「交通」" 人文論叢.
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[Publications] 井上 健: "アメリカ文学における群衆のイメ-ジ エドガ-・アラン・ポ-を手がかりとして" 比較文学・文化論集(東大比較文学会).
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[Publications] 市川 伸二: "「変身」に於ける交流について" 人文論叢.
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[Publications] 菅原 克也: "明治40年代の文学にあらわれた東京の市電のイメ-ジと機能" 比較文学・文化論集(東大比較文学会). 10号. (1992)
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[Publications] 篠崎 実: "アン王妃の「奇怪なスペクタクル」ー『女王たちの仮面劇』をめぐって" 新歴史主義. (1992)