1991 Fiscal Year Annual Research Report
「華南経済圏」に関する総合的研究ー華人資本と日系資本の投資パタ-ンの比較研究
Project/Area Number |
03451077
|
Research Institution | The International Centre for the Study of East Asian Development |
Principal Investigator |
勝原 健 財団法人国際東アジア研究センター, 副所長 (30224471)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 清 三菱総合研究所, 経済調査部, 主任研究員
王 効平 財団法人国際東アジア研究センター, 研究員 (50223706)
|
Keywords | 華南 / 華人資本 / 日系(日本)資本 / 香港 / 経済特区 / 沿海開放地域 |
Research Abstract |
香港の新空港建設問題をめぐり、中・英・香港政庁三者間に合意が得られた。中国政府は1997年後の香港統治に関するアドバイザ-44名を香港各界から募集し、全人代会期中に任命式を行った。中国の最高実力者〓小平氏が南方の経済特区を視察して改革・開放の深化を唱えたのを受け、中国沿海開放地域、特に華南地域に対する新しい外国投資の波が沸き起こっている。「華南経済圏」はもはや構想の段階を越えて現実的なものとなっている。このような一連の動きに注目し資料収集、調査分析を通じて以下のような認識を得た。 1.香港を中継地に華人系資本(台港・香港・東南アジア華僑資本)及び日本資本の対華南投資が急速に進んでおり広東省・福建省・香港・台湾を含めた高成長局地経済圏が形成されつついる。2.経済の一体化が進むにつれて、産業構造の高度化・産業間の相互補完関係がより強化されている。香港の金融センタ-・物流センタ-そしてOHQ基地として、大陸の東南沿岸地域の加工基地、資源エネルギ-の供給基地としての役割分担が一層鮮明になっている。 3.華人系資本は海外、国内との強い人的ネットワ-クを生かしてビジネスを有利に展開してきたが、小規模で労働集約的な業種への投資が主で、経営の短期志向が目立っているのに対して、日系資本が商社・金融資本をバックに組識的に、戦略的に投資を進めている。ハイテクプロジェクトの進出に伴って日系企業間における産業連関が強まり、大きな波及効果をもたらすことが期待されている。4.華人資本対日系資本の構図が変化を見せている。両者の連携のケ-スが増えつつある。また香港現地スタッフの活用で、広東省でのプロジェクトを成功させている日本企業が増えている。以上の成果を踏まえて、華人資本同士又は華人資本と日系資本の結びつきをパタ-ン化する事を次の課題としたい。
|