1992 Fiscal Year Annual Research Report
「華南経済圏」に関する総合的研究-華人資本と日系資本の投資パターンの比較研究
Project/Area Number |
03451077
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Research Institution | The International Center for the Study of East Asian Development |
Principal Investigator |
勝原 健 (財)国際東アジア研究センター, 副所長兼研究部長 (30224471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 清 三菱総合研究所, 経済調査部, 主任研究員
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Keywords | 華南経済 / ダイナミズム / 広東省 / 産業構造 / 華人系資本 / 人的ネットワーク / 日系資本 / 対中ビジネス |
Research Abstract |
本研究は、華南経済のダイナミズムと産業構造の変化を分析し、さらに、華人資本の進出経路、投資パターン、経営株式などを解明するとともに、併せて、日系企業のビジネス株式との差異及びその背景にあるものを究明するこを目的とする。 広東省のダイナミズムの背景には、実は、「輸出と投資の好循環」による工業化加速があり、とくに、所得水準上昇→耐久消費財内需増大→スケールメリットによるコストダウン→国際競争力強化による輸出伸長というメカニズムを通じて、軽工業を中心としつつも、産業構造が急速に高度化しつつある。このような工業化に大きく寄与したのは華人系資本であり、それには次のような特徴がみられる。すなわち(1)華南→沿海→全国へと投資を拡大。(2)安い労働力を狙った委託加工、小規模・短期指向の投資が中心であり、資本力は強いが、中国の希望するハイテク技術は、一般的に持ち合わせない。むしろ、サービス業の対外開放に乗じる不動産業、国内消費市場を狙った商業、流通に積極的に投資。(3)人的ネット・ワークの開拓・活用が強力な武器で、他国企業、大陸側企業との間だけではなく、行政府とのパイプ作り・活用もビジネスの展開上有利。(4)民族、言語、生活習慣が同じというメリットに加え、華人資本優遇措置をフルに活用などである。これに対して、日系資本の対中投資は、(1)香港の物流・金融情報センターの機能を活用するため、華南は委託加工基地、直接投資は大連、天津など沿海地域や長江デルタに集中。(2)業種別には、製造加工業中心で、労働集約→技術・労働集約型へ転換中だが、ハイテクは未だ少ない。(3)総合商社の現地法人の許可、銀行支店設立や流通業の参入の許可などサービス業の対中進出が始まる気運にある。 今後、日系企業は華人資本の資本力、人的ネット・ワーク、市場開拓経験を借り、自らの技術力、管理ノウハウを活かす形で、対中ビジネスに当たっても双方の提携を強めていくことも十分考えられる。
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