1992 Fiscal Year Annual Research Report
安定領域から遠く離れた核の相互作用ポテンシャルの研究
Project/Area Number |
03452022
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
下田 正 大阪大学, 教養部, 助教授 (70135656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮武 宇也 大阪大学, 教養部, 助手 (50190799)
藤田 佳孝 大阪大学, 教養部, 助手 (60093457)
森信 俊平 九州大学, 理学部, 教授 (50016078)
高橋 憲明 大阪大学, 教養部, 教授 (10028152)
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Keywords | 短寿命核 / 二次ビーム / 弾性・非弾性散乱 / 光学ポテンシャル / energy degrader / achromatic beam / monochromatic beam |
Research Abstract |
この研究は、地球上には存在しない短寿命(半減期数秒以下)の原子核を核反応によって人工的に作り出し、それらを、エネルギー・方向・空間的位置の揃ったビームとして取り出し、短寿命核が入射する核反応、とくに、弾性・非弾性散乱断面積を測定し、短寿命核と安定核の間に働く相互作用ポテンシャルを調べることを目的とする。研究は以下の4つの段階に大別されて進められてきた。すなわち、1.性質のよい短寿命核ビームを生成するための方法、とくにイオン光学の検討、2.短寿命核ビームを生成する装置の設計・建設、3.短寿命核ビームが入射する弾性・非弾性散乱を測定するための測定器系の設計・製作・試験、および、4.測定、である。 1.については、エネルギー分解能がよい不安定核ビームの生成方法を世界に先駆けてあみ出すことに成功し、その詳細を論文として公表した。それを受けたイオン光学系の具体的設計が1991年度内に終了し、2.のビームコースの建設を1992年度内に終了した。並行して、弾性・非弾性散乱を測定するための、真空散乱槽を製作・設置し、散乱粒子を高効率・高(エネルギー、位置)分解能で測定するための検出器系(読みだし回路群を含む)を設計・製作・テストした(上述プログラムの3.を終了)。その詳細が修士論文としてまとめられた。 1993年2月初めに300MeVのα(^4He)ビームをわれわれのビームコースに打ち込み、装置の(イオン光学的)基本性能のチェックおよび調整に成功した。4.の本番の実験のためには、重イオンビームが不可欠であるが、リングサイクロトロンが、現在、加速器完成後の調整時期にあたっているため、残念ながらまだ重イオンビームの加速がなされていない。1993年度の早い時期に加速テストが行われることになっており、近い内に測定が開始できるものと期待している。
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[Publications] 下田 正: "重イオン二次ビームコース" 原子核研究. 36,2号. 25-38 (1991)
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[Publications] T.Shimoda,H.Miyatake and S.Morinobu: "The secondary beam course at RCNP" Proc.of lnt.Conf.on Radioactive Nuclear Beams.LouvainーlaーNeuve.Belgium.Aug.1991. 71-76 (1991)
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[Publications] T.Shimoda,H.Miyatake and S.Morinobu: "Design Study of the SecondaryーBeam Line at RCNP" Nuclear Instruments and Methods in Physics Research. B70. 320-330 (1992)