1991 Fiscal Year Annual Research Report
三角格子反強磁性体における素励起と相転移の微視的過程の研究
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03452036
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 秀数 名古屋大学, 教養部, 助教授 (80188325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 久 名古屋大学, 教養部, 教授 (60022597)
竹内 秀夫 名古屋大学, 教養部, 助教授 (70115591)
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Keywords | 三角格子反強磁性展 / 相転移 / 磁気測定 / 複屈折 / ESR / 六方晶ABX_3型結晶 |
Research Abstract |
平成3年度は三角格子反強磁性体の単結晶作成と磁気測定、光学測定を重点的に行った。作成した結晶はRbNiCl_3など十数種類である。光学測定と磁気測定は東工大理学部と共同で行い,ESRについてはベルリンのハ-ン・マイトナ研究所および東紺大理学部と共同で行った。主な研究成果は次のようなものである。 1.RbNiCl_3は三角格子反強磁性体の一つである。我々はこの物質の相転移によって生ずる対称性の破れに伴なうスピン相関関数の異常とその臨界指数を複屈折により精密に測定した。 2.RbMnBr_3のスピン構造はC面内で不整合構造であることが報告されている。我々はこの物質の複屈折の実験から200Kに構造相転移があることを発見し、結晶の対称性が六方晶から斜方晶へと低下することが不整合構造の原因であることを示した。また、この物質の比熱の臨界指数も求め、三角格子反強磁性体に特有の値となることを示した。 3.CsCuCl_3はC軸に沿った長周期螺旋スピン構造をとることが知られている。この物質の秩序相でのESRモ-ドはこれまで測定されていなかったが、最近ドイツのパルメ達によってその測定がなされた。我々はその解析をジャロシンスキ-・守谷相互作用を考慮に入れた模型に基づいて行い、実験結果が統一的に説明されることを示した。 4.RbVBr_3とRbFeBr_3はC面内の単位胞がCsNiCl_3のそれに対して√<3>×√<3>倍になっている物質である。この系では理論的に遂次相転移が起こることが報告されている。我々はこれらの物質の磁化率とトルクを精密に測定し、予想通り遂次相転移が起こることを示し、各相でのスピン構造とC面内の相互作用の大小関係を決定した。 平成4年度はESRによる素励起の研究を重点的に行う予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Masukazu Igarashi: "Magnetic Phase Diagram of CsMn_<1ーx>Co_xCl_32H_2O" J.Phys.Soc.Jpn.60. 2361-2370 (1991)
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[Publications] Yasuaki Oohara: "Birefringence Study of the Criticality of the Magnetic Phase Transition in RbNiCl_3" J.Phys.Soc.Jpn.60. 4280-4285 (1991)
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[Publications] Hidekazu Tanaka: "Magnetic Priperties of Rb_<1-x>K_xNiCl_<3'> RvVBb_3 and CsNiI_3" J.Magn.&Magn.Mater.(1991)
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[Publications] Tetsuya Kato: "Birefringence Study on Structuraland Magnetic Phase Transitions of RbMnBr_3" J.Phys.Soc.Jpn.61. 275-285 (1992)
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[Publications] Hidekazu Tanaka: "ESR Modes in CsCuCl_3" J.Phys.Soc.Jpn.61. (1992)
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[Publications] Hidekazu Tanaka: "Successive Magnetic Phase Transitions in RbVBr_3" J.Phys.Soc.Jpn.61. (1992)