1992 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒パルスラマン分光による固体中局在中心の超高速緩和ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
03452037
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 新男 名古屋大学, 工学部, 教授 (50159068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
時崎 高志 名古屋大学, 工学部, 助手 (20207541)
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Keywords | 自己捕獲励起子 / 半導体束縛励起子 / コヒーレントラマン分光 / 電子ー格子相互作用 / フェムト秒緩和過程 / F中心 / 自己捕獲正孔 |
Research Abstract |
1.アルカリハライド結晶のフェムトの秒非線形分光: F中心を含むKBr結晶を605nmのパルス光で励起した後、500〜800nmのプローブ光を入射して、プローブ光強度の変化を観測した。F中心による吸収は100fs以下の時間で飽和を示し、F中心の寿命(〜ms)で回復した。しかし、ポンプ光で励起された局在中心の波束とプローブ光とによるコヒーレントラマン散乱の信号は、F吸収帯からF発光帯に至る波長領域では観測されなかった。これは、本研究で用いたパルス光の時間分解能(100fs)以下の時間内に、断熱ポテンシャル面上を波束が緩和することを意味する。即ち、ポテンシャル面上の緩和過程は、ダイナミカルであり、相互作用モードの1周期程度の時間で緩和することが確かめられた。 次に、強結合系における局在中心の初期緩和過程を調べるために、KI、RbI、KBr結晶の自由正孔と励起子が自己捕獲する緩和過程を調べた。その結果、正孔の局在中心であるVk中心は、これまでしられていなかった緩和配置を経由して、約10psを要して生成されることがわかった。これは、従来言われてきた100fs以下の時間で正孔は局在化するという予測を根底から覆す新しい知見である。F中心などの局在中心と自己捕獲型の局在中心が示す緩和過程の相互点と類似点に関する考察を行った。 2.ZnTe:Oの束縛励起子のフェムト秒非線形分光: 波長620nmのポンプ光で励起された束縛励起子の過渡吸収スペクトルを測定し、中間結合型の束縛励起子の吸収飽和を観測した。この吸収飽和は、数100fsで立ち上がり、100ps以上持続することがわかった。LOフォノン放出をともなった緩和過程もLOフォノンの1周期程度の時間で起こることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Tokizaki: "Ultrafast Formation Processes of Self-Trapped Excitons in Alkali Iodide Crystals under Band-to-Band Excitation" Ultrafast Phenomena VIII. (1992)
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[Publications] T.Tokizaki: "Femtosecond Cascade-Excitation Spectroscopy for Nonradiative De-excitation and Lattice Relaxation of the Self-Trapped Exciton in NaCl" Physical Review Letters. 67. 2701-2704 (1991)