1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03452067
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
蟹澤 聰史 東北大学, 教養部, 教授 (70005784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土谷 信高 東北大学, 理学部, 助手 (50192646)
石川 賢一 東北大学, 教養部, 助手 (20158744)
吉田 武義 東北大学, 教養部, 助教授 (80004505)
永広 昌之 東北大学, 教養部, 助教授 (10124554)
青木 謙一郎 東北大学, 理学部, 教授 (00004276)
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Keywords | 白亜紀 / 火成活動 / 微量成分 / 深成岩類 / テクトニクス / マグマ成因 |
Research Abstract |
1)北上山地における深成岩類の微量成分は,これまでの光量子放射化分析に蛍光X線分析を併用して100個以上のデータを得,これの解析を行った.その結果,従来のK_2Oによる分帯区分の特徴は他のインコンパティブル元素にも現われていること,また,いくつかの微量成分は各帯の特徴をよく示すことが明らかになった.すなわち,SiO_2の増加につれて,I帯におけるYの変化は他の帯の岩石に比べてほとんど一定か漸増することが特徴である.II帯の累帯岩体では,中心相でSrおよびBaに富みCe,P,Zr,Ti,Yがほぼ直線的に減少することで,Sr/Y比が著しく大きい.これはII帯の中心相の岩石の成因を考える上で重要な知見であり,Defant and Drummond(1990)の始生代TTDに類似することから,II帯マグマの成因に大きな制約を与えるものである.IV帯のプルトンはショショナイト類似の岩石があり,これらの岩石は島弧ソレアイトに比べてNbがやや高く,MORB規格化スパイダーグラムでもショショナイトのパターンに類似する.さらに栗橋および束稲岩体の詳しい分帯を行うことが出来た.VI帯のプルトンはK_2Oに富むものと乏しいものとに区別されるので,分帯は再検討の必要がある. 2)室内による主成分分析ならびに鉱物学的な検討について,北上山地の例が多いので今後は西南日本の火成岩類との比較をさらに充分に行ないたい. 3)スカンディナビア楯状地およびオスロリフト帯など外国の異なったテクトニクスとの比較も昨年に引続き行った.これらの結果は非常に興味のあるものである.西南日本のデータはまだ少ないので今後の課題としたい. 4)昨年度,備品として購入したドラフトチャンバーにより,室内実験の設備は整い,非常に能率よく実験が行えるようになった. 5)これらの結果の一部は1992年8月の京都における万国地質学会議で発表された.来年度は最終年度であるので,これらを完全な論文としてまとめる予定である.
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