1991 Fiscal Year Annual Research Report
地層の堆積造から水理条件を推定するための実験約的研究
Project/Area Number |
03452069
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
増田 富士雄 大阪大学, 教養部, 助教授 (30091929)
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Keywords | 水理実験 / 実験堆積学 / 堆積構造 / ベッドフォ-ム |
Research Abstract |
流れには河川の流れのような一方向流と,波のような振動流がある。流速や水深など水理条件が変化すると,水底でつくられるベッドフォ-ムと呼ばれる地形も変化する.例えばリップルやデュ-ンといったベッフォ-ム形態は,堆積物の粒径と流速などの水理条件によって決まる.また,各ベッドフォ-ムは独特の堆積構造をつくり,それが地層に記録される.従って,地層の堆積構造を,上で述べた逆ル-トをたどって解析し,水理条件を推定しようというのがこの研究の基本となる考え方である. 本年度は水理実験の装置を設計・開発・作成した.この装置は従来のものとは違って,振動流と一方向流が同時に発生できる.もちろんそれぞれの流れを単独でも発生できる.現在,作成したこの装置の基礎的な条件設定(流量・流速,波長・波長)を行っている.この装置は,浅海でスト-ム時に発生するような振動流と沖合への一方向流との混合流でつくられるベッドフォ-ムについての実験を行うことができる点で,特色がある.こうした場での実験的認識はほとんどないからである.予察的な実験では,混合流によってできるベッドフォ-ムは,形態や堆積構造に特徴があり容易に識別できる可能性が認められた.すなわち,混合流の場合,フォ-セット葉理に必ず上向きの流れによる効果が見られることである.これまで地層で観察された堆積構造のうち,一方向流によるものか,振動流によるものか不明であったものと同じものが,この装置の実験で再現することができた.各地の浅海堆積物からなる地層で観察できるスト-ム堆積物のなかには,混合流の堆積構造がかなりの分量で存在するものと思われる.今後は野外での観察とともに,この実験装置を使ってさらにいろいろな条件のもとでベッドフォ-ムをつくり,地層をよりダイナミックに解析する基礎としたい.
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