1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03452074
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
徳山 巍 筑波大学, 物理工学系, 教授 (40197885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本岡 輝昭 筑波大学, 物理工学系, 助教授 (50219979)
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Keywords | イオン注入 / 非晶質シリコン / ラマン散乱 / 構造緩和 |
Research Abstract |
平成3年度は、イオン注入により単結晶シリコンが非晶質化する過程の検討を行った。先ず、イオン注入に際し、基板シリコン単結晶の温度を精密に制御して、注入イオンのイオン種、エネルギ-、ド-ズ量、ド-ズ速度など、基板内でのエネルギ-損失、格子欠陥形成過程の異なる試料を作成し、これらが非晶質化に如何に影響するかを検討した。測定はラマン散乱分光法により、スペクトル中のTOピ-クの出現位置及びその半値半幅を測度とした。 その結果、ド-ズ量を増大することによって非晶質化が起こる過程で、基板結晶構造のラザフォ-ド後方散乱測定結果とを比較することによって、表面層の損傷蓄積による膨張が原子間結合力を弱め結果として非晶質化をもたらす事実を見出した。(論文1件投稿掲載済み) また、注入時の基板温度が低下すると、低ド-ズ量の注入でも非晶質化が進行し易くなり、また一定の温度のもとでは、注入イオン種をシリコンから燐に変えると非晶質化し易いことも見出した。これらの結果は、低温注入では注入時に基板内部に発生する格子空位の複合化が起こり難いこと、或いは格子空位と注入イオン種(燐)の結合によって結果的に損傷の密度を高めていることに基づくものとして説明された。(論文2件投稿掲載済み)この事実は注入イオン種としてゲルマニゥム並びにひ素を用いた試料間の比較によっても確認され、一般的にV族元素と格子空位との結合反応によるものであることが認められた。また注入イオン種の質量数により、非晶質化する注入ド-ズ量が異なるが、これは基板結晶内の格子欠陥発生数によって注入量を正規化することによって統一的に説明でき、またこの際V族元素とIV族元素間では非晶質化する臨界ド-ズ量に明らかな差のあることが確認された。 更に、非晶質化は結晶化の逆過程であるとの観点から、非晶質化した試料の熱処理による構造の緩和を調べて、非晶質相の準安定構造が、非晶質化の条件と如何に関連しているかも調べた。この実験には今年度に購入した精密に温度制御の可能な小形電気炉を用いた。その結果、注入イオン種によって非晶質層の構造緩和過程に差があり、また緩和の過程で、原子結合角の平均値からの偏差は、熱処理によって単調に減少せず、減少の過程で一旦増加に転じ更に減少する傾向が一般的に認められた。これは試料全体の自由エネルギ-は局部的には原子結合角の増加によって低下するとの緩和現象の存在を推定させるもので、来年度にさらに詳細を検討する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] F.Kobayashi,T.Motooka and T.Tokuyama: "Amorphization processes in Si^+ Implanted Silicon" Proc.14th Symposium on Ion Sources and IonーAssisted Technology(ISIAT '91 ). 14. 381-384 (1991)
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[Publications] T.Motooka,F.Kobayashi,P.Fons,T.Tokuyama,T.Suzuki and N.Natsuaki: "Amorphization Processes in Ion Implantaed Si:Temperature Dependence" Jap.J.Appl.Phys.30. 3617-3620 (1991)
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[Publications] T.Motooka and O.W.Holland: "Amorphization processes in selfーionーimplanted Si:Dose dependence" Appl.Phys.Lett.58. 2360-2362 (1991)