1992 Fiscal Year Annual Research Report
強誘電性・反強誘電性液晶の非線形誘電緩和スペクトロスコピー
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03452092
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早川 禮之助 東京大学, 工学部, 教授 (70010717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 康之 東京大学, 工学部, 助手 (00225070)
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Keywords | 非線形誘電緩和スペクトロスコピー / 強誘電性液晶 / 反強誘電性液晶 / ダイナミックス |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に開発された広帯域・高精度非線形誘電緩和スペクトル測定システムを用いて、単一成分および多成分系の強誘電性液晶の強誘電相および強誘電-常誘電相転移点近傍における非線形誘電緩和スペクトル測定を行った。その結果いずれの液晶においてもその3次スペクトルはゴールドストンモードに対応して、負の大きな緩和強度を持つことがわかった。強誘電相内ではその緩和強度・緩和時間の温度依存性は小さいが相転移点近傍では急速にその強度を増し、高次スペクトルにおいてその臨界挙動がより顕著にみられる。臨界点近傍では傾き角の揺らぎに起因するソフトモードが主要な緩和モードとなるが、ランダウ展開を用いた相転移の現象論により高次スペクトルの臨界挙動を説明することができる。これによればソフトモードに関する3次非線形誘電緩和強度は負であり、その臨界挙動は指数4を持つことが予想され、実験ともよく一致する。 さらに、本年度は近年、新たに反強誘電相およびいくつかの新規のスメクティック相を示すことが見い出された強誘電性液晶MHPOBCの各スメクティック相における非線形電気変位応答の印加電場依存性の測定を行った。フェリ誘電相であると予想されているSmC_y^*相においては印加電場の増加に伴いフェリ状態から強誘電状態への電場励起相転移がおこることがわかった。この際、両状態における飽和分極値からフェリ誘電相における強誘電的配列と反強誘電的配列の比を直接求めることができる。一方、常誘電相と強誘電相との間に新たに発見されたSmC_α^*相では常誘電相から強誘電相への電場励起相転移が見出された。このように、誘電的に活性な新しい相においても非線形誘電測定がそのダイナミックスに関する知見を得る有用な手段であることが示された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yasuyuki Kimura: "Nonlinear Dielectric Relaxation Spectra Calculated with a Free Rotation Model of the Dipole Moment" Japanese Journal of Applied Physics. 31. 3387-3391 (1992)
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[Publications] Yasuyuki Kimura: "Non-linear Dielectric Spectra of Fenoelectric Liquid Crystals" Liquid Crystals.