1991 Fiscal Year Annual Research Report
先進材料設計を指向した薄膜セラミックス被覆材の生成と強度に関する熱・力学的解析
Project/Area Number |
03452102
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 達雄 京都大学, 工学部, 教授 (10025950)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今谷 勝次 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (70191898)
星出 敏彦 京都大学, 工学部, 助教授 (80135623)
|
Keywords | セラミック被覆 / セラミック薄膜 / 非定常温度場 / 残留応力 / 有限要素法 / 爆発溶射 / スパッタ溶射 / 超微小硬度 |
Research Abstract |
本年度は,爆発溶射(爆射)を対象にした温度・応力場解析コ-ドをほぼ完成した。この解析では,被膜の遂次的な付着を非定常,移動境界問題としてモデル化した.この解析コ-ドを用いることによって,爆射1ショット毎に変化する被膜表面の非定常温度場および母材側の経時的温度変化の挙動をシミュレ-トした結果,実験結果とよい対応を示した.このような実験結果との対比により本解析コ-ドの有効性を険証できた.さらに,応力解析では,被膜表面において引張,被膜ー母材界面付近の母材側では圧縮の残留応力が生じることがわかった.この傾向については,X線残留応力測定の結果,ならびに爆射材料の静的負荷試験ではく離した被膜材料が反るという観察結果とも符合した.ただし,解析で得られた被膜側の引張残留応力はX線残留応力測定の値に比較して非常に高くなった.この点に関しては,爆射による被膜には多数の微小き裂が形成されていることが実験的に観察されているので,このようなき裂形成により残留応力を緩和されたものと考えている. 一方,スパッタによる被膜形成ならびに超微小硬度計を用いたダイナミック硬度の計測も併せて進行している.本年度では,耐熱ガラスに高純度アルミナをスパッタ溶射を行い,高周波出力,被膜周囲温度,被膜厚さによる硬度の変化を系統的に把握した.いずれの場合も被膜表面から母材界面側に向かって硬度は減少することが明らかになった.また予備実験として,バルク材のアルミナの焼きばなし材および研削加工により表面に圧縮残留応力を有する材料のダイナミック硬度を測定した.これによって圧縮残留応力を有する加工材の方が高い硬度値を示すことがわかった.このようなバルク材としてのアルミナとの対比により,スパッタ被膜では非常に硬度が大きくなり,強い圧縮の残留応力が発生していることが推定された.
|