1991 Fiscal Year Annual Research Report
分子動力学を応用したナノメ-トルレベルでの微小切削機構の解明
Project/Area Number |
03452112
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井川 直哉 大阪大学, 工学部, 教授 (60028983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 義市 大阪大学, 工学部, 講師 (80029040)
島田 尚一 大阪大学, 工学部, 助教授 (20029317)
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Keywords | 超精密切削 / 切削機構 / 分子動力学 / コンピュ-タ-シミュレ-ション / 最小切取り厚さ |
Research Abstract |
超精密切削加工において、ナノメ-トルレベルの切取り厚さにおいても安定した切くず排出が可能であることが実験的に確かめられた。このように、切取り厚さが数原子層という極微小切削の加工機構を解明するには従来の連続体力学にもとづくマクロなアプロ-チでは不十分である。本研究では、原子・分子のレベルで変形・破壊を取り扱うことのできる分子動力学の手法を切削現象の解析に導入し、計算機シミュレ-ションと極微小切削実験の結果の比較を通して微小切削理論とでも呼ぶべき新しいアプロ-チ手法の確立を目的としている。今年度の成果は次のとうりである。 1.極微小切削実験によって銅、アルミの切削を行い、ナノメ-トルレベルでの切削が可能であることを確認し、工具切刃が鋭利に保たれておれば、切くず排出挙動の再現性も極めて高いことを明らかにした。 2.切刃量丸味半径が大きくなると切くず排出が不安定になり、最小切取り厚さが大きくなること、また、チッピング、損耗等の切刃の微視的な性状が切削現象に著しく影響することが明らかになった。 3.分子動力学法を切削現象の解析に用いるための計算機プログラムを完成し、2次元的な原子配列モデルの切削シミュレ-ションが可能になった。 4.分子動力学を用いて、切くず排出挙動のシミュレ-ションを行い、切削速度および切刃稜丸味半径の切くず排出に対する影響は切削実験によって得られた結果と一致することを確めた。 5.従来は分子動力学では問題があるといわれていた切削熱の解析についても、原子の運動速度に対する適当な補正を行えば、実際の熱の発生・伝導のシミュレ-ションが可能であることを示した。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] N.Ikawa,S.Shimada,H.Tanaka,G.Ohmori: "An Atomistic Analysis of Nanometric Chip Removal as Affected by ToolーWork Interaction in Diamond Turning" Annals of the CIRP. 40. 551-554 (1991)