Research Abstract |
所要の二次元平行平板間乱流クエット流を高精度に実現することができる,信頼性の高い実験装置を完成することが本研究においては最も大切である。本年度は計画の初年度であるから,特にこの点を重視し,装置に種々の工夫を行い,予備実験および改善を重ねた。そして,従来のデ-タには十分な精度のチェックがなされていなかった乱流統計量に対しても高精度の結果が期待できるところまで達することができた。 平均速度分布の法則については,従来の結果との一致を確認した。また,乱流統計量については,次のような新たな知見が得られた。 乱れの実効値は,壁近傍を除く流路幅にわたり一定値をとるが,各成分間には非等方性が顕著に見られ,特に√<u^2>の値が他の2成分,√<v^2>,√<w^2>の約2倍となっている。ただし,uはx(主流)方向,vは壁に垂直y方向,wはスパン方向の変動速度である。また,これらの値はいずれもEl Telbany et al.(1982),Robertson et al.(1970)よりも大きな値である。Sーkewness factorおよびFlatness factorは,u,v,wに対するものすべてが,壁近傍を除き,流路幅にわたってほぼ一定となる。ポアズイユ型乱流のvのSkewness factorが流路中央に対し反対称分布を示すことと対比し明らかな相違が見られる。 u,v,wの自己相関係数は,vとwについては遅れ時間に対し急激な減少を示すが,uについては減少傾向がゆるやかである。散逸スケ-ルλ_v /2h≒λ_w /2h(2hは流路幅)および積分スケ-ルΛ_v /2h≒Λ_w /2hはそれぞれ流路幅にわたってほぼ一定値を持つ。λ_u /2hはλ_v/2hの約2倍の大きさである。Λ_u /2hが壁近くではΛ_v /2hの約2倍の値であるが,流路中央部では約7倍の値にまで急増する。これらの傾向は,Leeの数値計算結果に見られる縦渦構造と関係するのではないかと考えられるが,今後,詳細な検討が必要である。
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