1993 Fiscal Year Annual Research Report
超電導破壊の早期予測と超電導コイルの高度安定化に関する熱工学的研究
Project/Area Number |
03452126
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
相原 利雄 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (90006172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小原 拓 東北大学, 流体科学研究所, 助手 (40211833)
谷 順二 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (30006192)
高橋 秀明 工学部, 付属破壊力学応用研究施設, 教授 (10005267)
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Keywords | 超電導体 / 熱的安定性 / 浸漬冷却 / 強制冷却 / 熱伝達 |
Research Abstract |
本研究の目的は、強制冷却型および浸漬冷却型超電導コイルにおけるクエンチ発生機構を解明し、常電導転移の早期予測法に関する理論を確立し、クエンチ抑制に優れた超電導コイルの高度安定化法を確立することである。以下に3年間にわたる本研究で得られた成果を要約する。 1.平成3年度は、強制冷却型および浸漬冷却型超電導コイルのクエンチ発生機構と過渡安定性の数値解析を行った。関連諸因子の影響を定量的に明らかにし、常電導転移とクエンチ発生の早期予測法の基礎を構築した。 2.平成4年度では、超電導破壊(クエンチ)の早期予測に関して、以下の成果が得られた。 (1)液体ヘリウム中で浸漬冷却されるパンケーキ巻き超電導コイルについて、クエンチの高速伝播を可視化した結果、常電導転移域の伝播に先駆けた、クエンチが誘起する熱衝撃による圧力波の発生が明らかとなった。この熱衝撃による圧力波を検知することによって、常電導転移をその前段状態で検出できる可能性を示唆した。 (2)超電導体の熱的安定性を精密に解析するためには、冷却剤である液体ヘリウムの急速過渡沸騰熱伝達特性について、信頼性の高いデータを得ることが必要である。そこで、実用超電導導線に近い状態を実現するため、ステンレス箔ヒータにPVF絶縁層及び温度測定用カーボンペーストを被覆したテストピースを作成し、過渡沸騰熱伝達特性について実験を行った。得られた測定値を数値解析し、被覆層の熱容量と温度分布も考慮した補正を加え、ヒータにステップ状の熱入力を印加した場合の急速過渡沸騰熱伝達特性を詳細に明らかにした。 3.今年度においては、平成3、4年度に行った理論計算と実験の結果を分析し、超電導コイルにおける常電導転移を初生段階で早期予測し、超電導マグネットを安全に運転するための熱的安定化法の基礎を固めた。
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