1992 Fiscal Year Annual Research Report
光をトリガに用いる電力機器用酸化物超電導体スイッチング素子の基礎研究
Project/Area Number |
03452145
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
清水 教之 名古屋大学, 工学部, 助教授 (20126866)
|
Keywords | 超電導電力機器 / 永久電流スイッチ / 酸化物超電導体 / 光トリガ / 高速スイッチング / 電子的機構 |
Research Abstract |
光を照射することにより,Bi系化物超電導体の臨界電流が低下し,超電導ー常電導転移が促進されることは既に平成3年度に確認した。また,転移促進効果は紫外領域の光で大きいことから,非熱的な機構の可能性が示唆された。 平成4年度に新たに得た結果をまとめると以下の様になる。 1.光照射下の電流ー電圧特性は,非照射時に比して,大きなバラツキ(標準偏差にして約10倍)を持つことが分かった。光照射下で試料の温度上昇は計算機シミュレーションから0.5K程度と評価できた。加圧により液体窒素温度を0.5K程度上昇させても光照射なしではバラツキは余り増加しない。このことから,光照射効果の発生機構として,光によるピン止め磁束の脱出促進などの電子的機構が有力と考えられる。 2.パルス光に対して,臨界電流の低下や発生電圧の増加が認められた。ただし時間遅れがみられ,幅0.6msのパルス光に対しては,電圧上昇波形は立ち上がり4ms,立ち下がり17msとなる。この結果はピン止め中心から脱出した磁束が磁気圧力により加速された後,再び捕獲されるモデルによっても説明できる。 3.YBCO薄膜においても光照射により,常電導転移が促進されることを確認した。YBCO薄膜試料のパルス光に対する応答は極めて速く,幅50μsのパルス光に対しては,10μs程度の遅れで追従することが明かとなった。この結果は光トリガ超電導スイッチング素子が実用的に極めて有望であることを示唆する。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 清水 教之: "BSCCOのV-I特性における光照射効果とバラツキ" 第47回低温工学・超電導学会講演概要集. 80- (1992)
-
[Publications] 杉谷 猛: "Bi系酸化物超電導体のパルス光照射に対する応答" 第48回低温工学・超電導学会講演概要集. 320- (1992)
-
[Publications] 橋本 幸吉: "酸化物超電導体ー常電導金属接合部における温度解析" 第48回低温工学・超電導学会講演概要集. 321- (1992)
-
[Publications] 道下 和男: "Bi系超電導試料のIc測定における電流スイープ速度の影響" 第48回 低温工学・超電導学会講演概要集. 11- (1992)
-
[Publications] 橋本 幸吉: "Bi系超電導体の光照射下における発生電圧のバラツキとその機構" 平成5年電気学会全国大会. (1993)
-
[Publications] 杉谷 猛: "YBCO薄膜のパルス光に対する応答" 平成5年電気学会全国大会. (1993)