1992 Fiscal Year Annual Research Report
ボロンイオン注入によるシリコンにイオン注入されたひ素の活性化と拡散の抑制の研究
Project/Area Number |
03452157
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
横田 勝弘 関西大学, 工学部, 教授 (50067617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 進 関西大学, 工学部, 専任講師 (10067754)
片山 佐一 関西大学, 工学部, 教授 (90067398)
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Keywords | 半導体 / シリコン / 不純物 / RBS / XPS / 拡散 / 電気特性 |
Research Abstract |
シリコンにひ素とボロンを異なる飛程でイオン注入し、熱処理すると、2個のひ素と1個のボロンが結合して、アクセプターを作り、ひ素の電気的活性化が抑制され、かつひ素とボロン両方の拡散も抑制されることは、すでに多くの論文で報告してきた。このようなひ素の電気的活性化と拡散の抑制の機構を研究するために、ヘリウムイオンの後方散乱法による格子位置を占めるひ素の割合とX線光電子分光分析法によるひ素原子の化学的結合状態を調べた。ボロンの注入量が増えると共に、格子位置を占めるひ素の割合が増加した。また、ボロンの注入量が増えると共に、ボロンと結合するひ素の数も増加した。この化合物は、一つのボロンに二つのひ素が結合したものであった。この化合物は、熱処理の初期にでき、一体となって拡散するために、ひ素とボロンの拡散が抑制されることになる。また、この化合物のひ素は、ボロンと結合すると共に、同じ化合物を構成しているもの一つのひ素とも結合した。したがって、この化合物はシリコン中でアクセプタとなる。 ひ素とボロンが化合物を作るための働く力を調べるために、シリコンにひ素とボロンを同じ飛程でイオン注入し、熱処理した。この試料は、原子半径がシリコンより小さいボロンと大きいひ素が同じ場所にあるために、熱処理時に発生する応力は、ボロンとひ素が異なる飛程で注入された場合よりかなり小さくなる。ボロンとひ素の拡散は、ボロンとひ素が異なる飛程で注入されたシリコン中ほど抑制されなかったが、ボロン注入量の増加と共に抑制された。また、ひ素の電気的活性化は、よく知られているシリコン中のひ素によるキャリア密度の上限によって制限され、ひ素の拡散と共に高くなった。しかし、ひ素とボロン化合物を作るための働く力を特定するためにはもう少し研究を続けなければならない。
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[Publications] 横田 勝弘、片山佐一ら、: "Improvement for the number of substitutional arsenic atoms in arsenic implanted silicon by simultaneously implanting boron ions" Technology Reports of Kansai University. 34. 71-77 (1992)
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[Publications] 横田 勝弘、片山佐一ら、: "Chemical interactions between arsenic and boron implanted in silicon during annealing" Japan Journal of Applied Physics. 31. L1100-L1102 (1992)
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[Publications] 横田 勝弘、田村 進ら、: "Diminution of electrical activity and reduction of diffusion of As implanted in Si by simultaneous implantation of B ions" Proceedings of Third International Symposium on Physics and Modeling in Semicondutor Technology. (1993)