1992 Fiscal Year Annual Research Report
地震火災時の人間の避難行動に関する実験およびシミュレーション
Project/Area Number |
03452198
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片山 恒雄 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70013216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
目黒 公郎 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (40222343)
永田 茂 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (50217999)
山崎 文雄 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (50220322)
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Keywords | 避難 / 地震火災 / 人間行動 / フラクタル次元 / 地下街 / シミュレーション |
Research Abstract |
平成3年度に引き続いて、迷路実験結果と過去の火災事例に関する人間行動の分析を継続した。脱出時間、行動した範囲などに加えて、行動経路のフラクタル次元を評価することによって、避難時の行動を特徴づける客観的かつ一般性のある定量的な行動指標について検討した。この結果、既往の研究で用いられている主な人間行動の特性指標である、脱出時間、歩行距離、行動範囲などが同じ値であっても、動線形状が大きく違う場合があり、従来用いられてきた指標のみでは人間行動の特徴を充分に定量化できていないことが明らかになった。一方、フラクタル次元が、脱出時間、歩行距離、行動範囲などで評価できない、人間行動の複雑さの度合を定量的に表していることがわかった。この結果、日常動線の調査やコンピュータシミュレーションなどの手法を用いて、安全な場所へ到達するまでの平均的な動線を計算し、求められたフラクタル次元と歩行距離などの指標と合わせることにより、地下街の安全性の評価に応用しうることを明らかにした。 上記の検討結果を取り入れて、避難シミュレーションプログラムの開発を行った。プログラムは、人間の判断の部分に個人特性や状況に応じたファジイ推論を取り入れた。この避難シミュレーションのテストランを迷路実験を例題として実施し、実験結果と照らし合わせて、その妥当性の検討を行っている。この作業と並行して、来年度に予定している大規模地下街の避難シミュレーションのために、営団地下鉄大手町駅において現地調査と構内流動調査データなどの基礎的データの収集を行った。また、構内流動調査データの詳細な分析を通して、避難シミュレーションで用いる地下空間のモデル化を開始した。 設備としては、平成3年度に導入したワークステーションに新たなハードディスク、バックアップ装置、ネットワーク装置を追加し、ネットワークを用いた分散処理による大規模避難シユミュレーション・プログラムの開発・実行環境を構築した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 山崎 文雄: "避難行動の迷路実験結果" 土木学会論文集. NO.441/I-18. 203-206 (1992)
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[Publications] 横山 秀史: "迷路実験による緊急時の人間行動" 土木学会論文集. NO.441/I-18. 107-115 (1992)
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[Publications] Hidefumi YOKOYAMA: "Human Behavior During Emergency Evacuation" Bulltin of Earthquake Resistant Structure Research Center. NO.25. 105-116 (1992)
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[Publications] 横山 秀史: "フラクタル次元を用いた人間行動動線の定量的分析" 土木学会論文集. NO.450/I-20. 181-187 (1992)
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[Publications] Hidefumi YOKOYAMA: "A maze experiment on human behavior during evacuation" Proceeding of Tenth World Conference on Earthguake Engineering. VOL.10. 6091-6096 (1992)
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[Publications] 横山 秀史: "人間行動の定量化へのフラクタル次元の応用" 土木学会第47回年次学術講演会概要集第I部門. VOL.I. 70-71 (1992)