1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03452204
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
吉中 龍之進 埼玉大学, 工学部, 教授 (00008822)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 昌彦 埼玉大学, 工学部, 助手 (00214114)
山辺 正 埼玉大学, 工学部, 助教授 (40125894)
|
Keywords | 動的強度 / 非線形解析 / 応力ー浸透連成問題 / 微小割れ目 |
Research Abstract |
我国においては、新第三系を中心とした堆積軟岩を支持地盤として重要構造物を建設することが多く、その際の設計は地震時における岩盤の極限耐力に依るところが大きい。そこで本研究では岩盤の動的強度を明らかにすべく、当該年度においてはグリ-ンタフに属する凝灰岩を試料として動的強度と静的強度の比較を行った。その結果、全応力における静的強度に対する動的強度の比は1.0〜1.5となるが、有効応力を考慮すると、両者の間に差がないことがわかった。このことはこの凝灰岩での破壊のメカニズムが両者とも同じであり、その差は間隙水圧の挙動によるところが大きいことを意味している。凝灰岩を顕微鏡下で観察することにより、堆積構造に平行な割れ目が卓越していることが判明した。また一軸圧縮下においてもこの微小割れ目の影響により堆積面に垂直に載荷した場合の変形係数が極度に低下することを見いだしている。このような微視的構造に由来する異方性を示す岩盤においては、変形の進行にともなって微小亀裂が閉塞あるいは開口し、非線形な応力ーひずみ関係となることはよく知られた現象である。このような場に水の流れが存在するとき、流れに対する抵抗則が見かけ上の開口幅の三乗に比例することから、流れを記述する構成則も著しい非線形性を有することになる。そこでこの二つの現象を連成させた解析手法を新たに開発し、実岩盤における計測結果を用いて第一段階として事例研究を実施した。また、大規模な亀裂を含む岩盤に対する三次元変形解析を実施し、上記の変形解析手法の予備的な検証を行い実測変位との整合性を調べた。以上当該年度の結果をもとに、間隙水圧の挙動を正確に把握すること、微視的な亀裂の進展をビジュアルな形で捉えることを今後の課題とした。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 吉 中龍之進,小林 隆志,瀬戸 亥一郎: "礫混じり軟岩の強度・変形特性" 第24回岩盤力学に関するシンポジウム講演論文集. 256-260 (1992)
-
[Publications] 多田 浩幸,石塚 与志雄,熊坂 博夫,山辺 正,小田 匡寛,前川 恵輔: "不連続の三次元掘削解析の実岩盤への適用" 第24回岩盤力学に関するシンポジウム講演論文集. 146-150 (1992)
-
[Publications] 山辺 正,前川 恵輔: "異方性を有する岩盤における非線形応力・浸透連成解析" 第27回土質工学研究発表会. (1992)
-
[Publications] Tadashi Yamabe&Keisuke Maekawa: "Nonーlinear Elastic Stress and coupled Fluid Flow Analysis of Anisofropic Rock Masses" Symposium on Assessment and Prevention of Failure Phenomena in Rock Engineering. (1993)
-
[Publications] 長田 昌彦: "微視的構造が考慮した堆積軟岩の直交異方性について" 第47回土木学会年次講演会. (1992)