1991 Fiscal Year Annual Research Report
ホ-ルの音響設計におれる非単連結空間の評価手法に関する研究
Project/Area Number |
03452228
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤本 一壽 九州大学, 工学部, 助教授 (90112309)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古屋 浩 九州共立大学, 工学部, 講師 (00238700)
|
Keywords | 室内音響 / 模型実験 / コンサ-トホ-ル / バルコニ- / 音響設計 |
Research Abstract |
コンサ-トホ-ルの音響にとって最も大切なことはホ-ルの基本形態であるといわれている。一方、中規模以上のホ-ルで必ずといってよいほど設置されるバルコニ-は、その下部に客席主空間と音響的に完全には連結されていない空間(音響的非単連結空間)を構成するため、ホ-ルの音響特性を左右する大きな形態要素となっている。そこで本研究はバルコニ-に代表される非単連結空間の形態とホ-ルの音響特性との関連を探ろうとするものである。本年度はその第一段階として、音響模型実験を実施するために必要な『模形室内インパルス応答計測システム』の開発と『部分縮尺模型を用いた基礎的な実験』を実施した。 実験は、無響室内にバルコニ-を単純化した1/10縮尺模型を製作し、バルコニ-の形態が下部空間の直接音に与える影響について検討した。すなわち「音量感」が最も重要な音響主観量の一つであることから、まず直接音成分に焦点をあてた系統的な実験を試みた。バルコニ-のない状態を基準として、バルコニ-の深さと高さを様々に変化させ、バルコニ-下部における音圧のエネルギ-値を測定・分析した。 直接音レベルに対するバルコニ-の深さの影響は、バルコニ-高さの増加とともに緩和され、影響を受ける周波数範囲も低音域へ移行することが認認された。さらに、バルコニ-の深さ(D)と高さ(H)の比をパラメ-タとして分析した結果、直接音レベルの変動はD/Hの値によって系統的に変化することが分かった。これらは、バルコニ-の形態をパラメ-タとしてバルコニ-空間の音響性状を把握することが可能であることを示唆するものと考える。 次年度以降は、本年度の研究成果をもとにさらに様々なホ-ル形態を対象とした実験を進めていくとともに、聴感上特に重要である初期反射音領域まで拡張した検討を行っていく予定である。
|
-
[Publications] 中川 昌博: "バルコニ-空間の音響性状に関する実験的検討" 日本建築学会九州支部研究報告(1992年3月). 第33号. (1992)
-
[Publications] 古屋 浩: "An Examination on Acoustical Properties of UnderーBalcony Space in Concert Halls" Proc. of 14th International Congress on Acoustics(3rd Sep. 1992.). (1992)
-
[Publications] 古屋 浩: "バルコニ-空間の音響性状に関する実験的検討" 日本建築学会大会学術講演梗概集(環境系)(1992年8月). (1992)