1993 Fiscal Year Annual Research Report
患者の行動と認知イメージからみたHospital Geographyに関する研究
Project/Area Number |
03452231
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
長澤 泰 東京大学, 工学部, 教授 (30217989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 哲郎 東京大学, 工学部, 助手 (00239972)
鈴木 毅 東京大学, 工学部, 助手 (70206499)
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Keywords | Hospital Geography / 認知イメージ / 意味付け |
Research Abstract |
研究の概要 本研究は、患者が病院の空間をどのように認知し、また行動するかを理解し、患者の意識上に構成された空間地図を基に、病院計画を評価し再構成する事を目的としている。今年度は本研究課題の最終年度にあたり、入院から退院までの期間を、患者が時系列的に、どのように空間を評価し、また認知し、意識上に再構成し、使いこなしてゆくか、等を解明する目的で研究を行った。 結果の概要 1.患者の行動範囲は、病室→病棟→他のフロアーへと経時的に広がる。またそれぞれの場所は同時に、様々に意味付けされてゆき、同種の機能を持つ空間は、表・裏或いは私的・公的、等といった具合に使いわけがなされるようになることが明らかになった。すなわち入院当初は、病院内で使用する空間や通路は限定され、かつ単一の用途に供すものとして認知されていた空間が、様々な交流や経験から、範囲や用途が広がってくる。 2.具体的には、病棟内に複数の廊下がある場合、ナースステーション(NS)の面する廊下は表でありまた公的な空間である。またNSから見渡せる患者関係所室は公的な性格として意味付けされ、これと比較して、他のフロアーの患者関係諸室は私的な空間として利用され、また意味付けされている。つまりこうした空間の意味付け・性格付けに応じて、患者は、病院内での様々な行為を行う場所を使い分け、そこに至るルートさえも選択している。 3.一方患者は、在床する病室空間に対して、入院当初は漠然とまた全体としての評価を持つが、その後は経時的に評価の質・視点が変わってゆく。すなわち、全体的な雰囲気の評価→生活機能上の評価→使いこなしによる適応、といった一連の流れを示している。その期間はおよそ10日前後であり、病状の安定する期間とも一致する結果となっている。
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Research Products
(1 results)