1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03452244
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
七尾 進 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (60013231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 康裕 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (80182955)
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Keywords | 準結晶合金 / 3次元準結晶 / QCICモデル / F型準結晶 / X線回折 / X線異常散乱 / 原子クラスタ- / 環境構造 |
Research Abstract |
代表的な3次元準結晶であるAlーMn系準結晶に対しては、本研究グル-プが提案したQCIC(Quasiperiodic Configuration of Icosahedral Clusters)モデルが実験結果をよく再現するモデルであることが確認されている。このモデルは12個のMnと32個のAlから構成される正20面体対称を示すクラスタ-(Mackay Icosahedron,MI)を準周期的に配置したもので、6次元空間から3次元空間への射影に基づいて構成されたものである。最近発見された準結晶の中で、回折スポットがfccの消減則を示すもの(F型準結晶)は、構造の完全性が高いことで知られているが、具体的な構造は明らかでない。本研究は、X線回折のデ-タを基に、F型であるAlーCuーFe系、AlーCuーRu系、AlーPdーMn系の構造解析を、QCICモデルの成立する通常のMackay型3次元準結晶のデ-タとの比較検討により行い、その構造モデルの構築を行うことを最終的な目的としている。 実験はすべて高エネルギ-物理研究所の放射光施設で行った。AlーCuーRu系とAlーPdーMn系ではX線異常散乱利用した実験をおこない、Ru原子、Pd原子の環境構造を求めた。これらのX線の回折プロファイルは、指数がすべて奇数であるいわゆる超格子ピ-クを有し、AlーCuーFu系、AlーCuーRu系、AlーPdーMn系の順に超格子ピ-クが大きくなった。この結果より、超格子ピ-クはFe,Ru,Pdの各原子サイトが超周期を有することに起因すると推測された。さらに詳しく二体分布関数を検討した結果、F型の準結晶も局所的にはMIクラスタ-と同型の構造をとっていることが判明した。これらの結果から、QCICモデルにおいて、二種類の原子クラスタ-を偶奇性に基づいて二種類に分別した準格子点に配置したモデルを考案して、X線回折プロファイルをシミュレ-トしたところ、定量性には問題があるものの実験X線回折プロファイルの特性を再現することができた。 これらの成果は、論文1編として発表し、1991年秋の日本物理学会および日本金属学会においては講演発表を行った。
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