1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03452245
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
成田 舒孝 京都大学, 工学部, 助教授 (10026213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 裕彦 京都大学, 工学部, 教授 (60029105)
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Keywords | 破壊 / クラック / 結晶欠陥 / 転位 / 破壊靭性 / 相転移 |
Research Abstract |
クラック先端の局所過程が破壊靭性に及ぼす効果を明らかにするため,本年度は,遮蔽場・反遮蔽場の局所形成と破壊抵抗との関係について研究を行った。得られた結果は次のように要約される。 1.NaCl-2%NaBr混晶の破壊靭性値は,77K付近でNaCl結晶のそれとほぼ等しいが,室温付近ではすべり変形しやすいNaClよりも高くなる。また,脆性-延性遷移は450K付近から始まり,NaClよりも約30K高い。これらは,クラック先端からの遮蔽転位の放出と内部転位源からクラックへ近づく反遮蔽転位の活動との競合過程を考慮すれば理解できる。 2.クラック近傍の相変態による遮蔽場形成が破壊靭性値の上昇をもたらすことを,SrTiO_3結晶の100〜200Kでの応力誘起立方晶→正方晶相転移を利用して立証し,すべり変形の難しい結晶に対する相転移利用の有効性を明らかにした。 3.先に,クラック近傍への易動性侵入型不純物の集積が反遮蔽場を形成して脆化を促進すると予測し,Fe-Si合金のHやHeの添加によって室温付近での脆化を立証したが,本年度は,HやHeよりも移動の遅いNをFe-Si合金に添加した結果,450K付近から脆化による緩慢亀裂成長を観察した。この脆化温度の上昇をもとに侵入型不純物の速やかな集積が脆化の必要条件であることを明らかにした。 以上の結果ならびに前年度までの研究成果をもとに,破壊靭性を支配するクラック先端の局所過程について総合的な考察を加えた。
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