1992 Fiscal Year Annual Research Report
強加工したγステンレス鋼粉における加工誘起マルテンサイトの逆変態と焼結挙動
Project/Area Number |
03452249
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
徳永 洋一 九州大学, 工学部, 教授 (60037710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 政智 九州大学, 工学部, 助手 (00185977)
高木 節雄 九州大学, 工学部, 助教授 (90150490)
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Keywords | 準安定オーステナイト / 粉末 / 加工誘記変態 / マルテンサイト / 逆変態 / メカニカルシリング / アルミナ / 結晶粒微細化 |
Research Abstract |
室温で準安定なオーステナイト組織を有するSUS304L鋼粉末(Fe-19%Cr-9%Ni 3元合金)に、分散粒子として超微粉アルミナ(平均粒径0.05μm)を混合し、振動型ボールミルを用いてミリング処理したときの粉末形態や組織の変化、ならびに長時間のミリング処理を施した粉末を高温真空中で加圧・固化成形した場合の組織変化を光学顕微鏡、EPMA分光分析装置、ならびにX線解析装置を用いて調査し、つぎのような結果を得た。 1)ミリング初期に基地のオーステナイトはマルテンサイトに加工誘起変態し、そのマルテンサイトがミリング処理中にさらに強加工されて、アルミナの分散強化とマルテンサイトの加工強化により、粉末の強度はビッカース硬さで700程度にまで増大する。 強加工されたマルテンサイトは、900K以下の低い温度でオーステナイト組織に逆変態する。 ミリング時間が長いほどアルミナの分散は微細になり、体積率で4%まではその混合量が多いほど分散強化の程度も大きくなるが、それ以上では強化に対する寄与は期待できない。 2)1173K圧延で得られた試料は、光学顕微鏡では組織を識別できないほど微細なオーステナイト単相の組織となっていることが判明した。1173K圧延試料は、1573Kの高温で長時間焼鈍してもそれほど顕著には粗粒化せず、平均結晶粒径で約3μmの微細組織を保持しうる。基地中に分散したアルミナ粉は、焼鈍中に若干凝集するものの、粒界をピンニングしてオーステナイト結晶粒の成長を大幅に抑制する働きをしていることも明らかにされた。 ミリング処理した粉末をステンレスパイプに真空封入し、種々の温度で圧延した結果、1200K以上の圧延温度で完全に緻密な材料が得られることがわかった。
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