Research Abstract |
本年度の研究により得られた成果は,以下の通りである。 1.車輪走行性能試験装置においては,車輪の接地荷重を一定に保った状態で駆動トルクを供給することが必要であり,その実現のため、駆動モ-タを搭載した車輪走行部を自由な上下動を許すリニア・ベアリングを介して定速度の台車に連結する構造の車輪試験装置の開発を進めていたが,不備な点について改良を行い,一応,完成の域に達した。なお,駆動トルク,けん引力,沈下量,すべり率等の力学的諸量はオンラインシステムで,実験中,コンピュ-タ・ディスプレイに出力される。 2.車輪表面の2箇所にT型センサ-を埋め込み,車輪表面に作用する法線力,接線力の測定を可能とした。 3.土層の側壁を透明アクリル板として、その内側にクロスを描いたマ-カ(10φ)数百枚を設置して,これらの動きにより走行地盤内の土の変位の観察を可能とした。これらより,土中各部のひずみを算定し得る。 4.本試験装置により,種々のすべり率において、土層厚を一連に変化して,走行実験を行った結果,けん引力は,おおまかには土層厚の増大とともに減少するといえるが,厳密には土層厚1ー2cm付近で最低値をとることが把握された。 5.車輪走行現象を理論的に予測するため,有限要素解析プログラミングを行った。本プログラムには,非古典弾塑性構成式を導入し,また,車輪面と土の接触はク-ロン摩擦とし,かつ,接地荷重を一定に制御するサブプログラムが組み込まれている。本プログラムにより,実験と条件を合わせた解析を進めている。沈下ステ-ジにおいては実測結果と十分よい一致がみられるが,回転走行ステ-ジにおいては予想外の計算時間を要するとともに,けん引力を過大に予測する傾向がみられる。目下,低減積分の導入,計算効率化を目指してプログラムの改良を進めている。
|