1991 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞培養器の振とう・培養液の攪拌によるせん断力の解析
Project/Area Number |
03452275
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蔵田 憲次 東京大学, 農学部, 助教授 (90161736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古在 豊樹 千葉大学, 園芸学部, 教授 (90081570)
後藤 英司 東京大学, 農学部, 助手 (00186884)
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Keywords | 細胞培養 / 液体培養 / 振とう培養 / せん断力 / 粘性率 / 流れの可視化 |
Research Abstract |
植物細胞や細胞塊の培養では、培養液の箆拌と酸素補給のために、培養器の振とう、培養器への空気の送入(エアリフト形培養器)やインペラ-の回転など行なわれている。この場合、細胞の生長・増殖に影響する重要な因子として、溶存酸素量と細胞(塊)に作用するせん断力をあげることができる。本研究では、培養液の溶存酸素量と細胞(塊)に働くせん断力の科学的に解明を目的とし、実験的および理論的に培養条件と上記2因子の関系を明らかにする事を目的とする。特に、既存の研究が少ないせん断力に重点を置く。初年度は、培養液のみかけの粘性率と培養条件の関係の解明と、流れの可視化の予備実験を中心に行った。 培養液の基本特性であるみかけの粘性率が細胞密度などの条件によってどのように変わるかということは、培養液流動の流体力学的な検討において最も基本的な事項である。いろいろな条件を変えて培養液の粘性率を計測するために実際の細胞を使うのは煩雑であるばかりでなく、希望する条件を得られない場合も多い。そこで、疑似細胞(寒天を細胞(塊)の大きさに粉砕したもの)で実験を行った。その結果、次のことが分かった。細胞濃度が増加するに従って、みかけの粘性率は指数関数的に増加する。異なる2つの寒天濃度で実験を行ったところ、ヤング率の大きな寒天の場合の方がみかけの粘性率は大きくなった。なお、測定結果は、ある細胞濃度のところで、みかけの粘性率が大きく増加したが、これが物理的な現象を表しているのか、測定方法上の問題なのか、現在検討中である。今後、この点を含め、細胞のヤング率、細胞の形状などとみかけの粘性率の関係をさらに追求する予定である。また、アルミ粉末をマ-カ-に使った流れの可視化実験を行うとともに、振とう培養時の可視化のための装置を製作した。溶存酸素の測定などは次年度に行う予定である。
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