1992 Fiscal Year Annual Research Report
理工系学部に必要となる基礎的数学の内容とCAIによる教育の研究
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03452308
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
横地 清 東海大学, 理学部, 教授 (30100481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 光男 東海大学, 開発工学部, 講師 (20232316)
梅原 智夫 東海大学, 海洋学部, 講師 (30056270)
河村 勝久 東海大学, 教育研究所, 助教授 (70119668)
渡辺 信 東海大学, 海洋学部, 助教授 (70240489)
田中 〓一 東海大学, 海洋学部, 教授 (00119687)
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Keywords | 学力低下対策 / CAI / 学力回復コース / 電卓使用教育. / 数学の文化史 / 基礎数学 / 興味付け. / 数学評価 |
Research Abstract |
大学生の学力の低下現象は最近始まつた問題ではないが,多くの指導者が気付き問題にたのは2-3年前からである.東海大学海洋学部は7年間の微分積分の学力を調査検討し,この学力低下に対する対策を講じてきた.とくに,CAIを利用した基礎数学を開講して4年が過ぎる.基礎数学は入学時の学力の低い学生を選抜し,個人的指導を行つた.個人指導はCAI利用によつて可能となつた.海洋学部の専門講義を理解できる実力をつけることを主眼とした.学力の低下が大学生生活に及ぼす影響は計り知れない.特に,数学の学力の無さは理工系の学科を卒業することは不可能に近い.基礎数学は,基礎的数学を理解し自信を持つて,専門科目に対処できるようにすることである.学力の低い学生が共通して理解し難い内容と誤り易い内容の検討から,CAIと組んだ教科書を作成して講義を実施した.その結果,1年間のCAI利用の個人的教授は,4年後に社会人としての実力を付けて卒業する動機付けに成りうることを実証した.入学後,数学の学力不足をはつきりと自覚し,自ら何らかの方法を見つけ,数学学力の回復に努めようとする意欲を持っている.この自覚に対する応答の場所を現在の大学教育は用意していない.基礎数学はこの自覚を持つた学生に対する講義としてふさわしい.今年度,基礎数学受講者の25%位は中位以上の成績で卒業できた.成績が低いまま回復できなかつた学生は当然残つたが,1年次の基礎数学の努力は自ら学ぶ意欲を学生に与えることができたと考えられる.また,学力の低い学生に対して,1.電卓の使用と数学教育 計算の不得意な学生に対して,電卓を使用することを認めて,数学教育を進めることは大きな成果を期待できる.2.数学に興味を持たせること,数学がいかに社会で役立つてきたかを知らせること,自分で数学を作る訓練をする事から,数学の文化史の話題に興味を持つことによつて,数学の講義を楽しむようすることも大切であることを生かす方法を考える必要がある.
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 基礎数学専門委員会 横地 清: "コンピュータの教育利用について" 第7回CAI学園研究会(東海大学)報告集. 7. 47-54 (1992)
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[Publications] 渡辺 信: "大学生の学力低下に対処するCAI ー基礎学力回復の数学教育とCAIー" 情報処理教育研究集会. 4. 277-280 (1992)
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[Publications] 渡辺 信: "評価方法の一試案 ー意欲を積極的に評価する試みー" 東海大学紀要. 17. 107-115 (1992)
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[Publications] 基礎数学専門委員会 横地 清: "小・中・高・短大・大学の談話会 一貫教育の出発点として" 第7回CAI学園研究会(東海大学)報告集. 7. 17-24 (1992)
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[Publications] 渡辺 信: "コンピュータ教育に関する電卓の役割り" 情報処理学会研究報告. 92. 19-28 (1992)
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[Publications] 横地 清: "「数学の文化史」の学校数学への導入のために" 数学教育学会紀要. 33. 21-38 (1992)
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[Publications] 基礎数学研究会 代表 横地 清: "基礎数学テキスト" (発行)東海大学海洋学部, 139 (1992)
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[Publications] 横地 清: "数学の文化史" 森北出版, 199 (1992)