1991 Fiscal Year Annual Research Report
希ガス結晶およびクラスタ-相における励起分子の緩和挙動
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03453003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
幸田 清一郎 東京大学, 工学部, 教授 (10011107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 文雄 日本鉱業(株), 新材料研究所, 研究員
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Keywords | 希ガス結晶 / 励起分子 / 緩和挙動 / 低温結晶 / 結晶内緩和 / ケ-ジ効果 |
Research Abstract |
1.本研究は、新しいレ-ザ-発振の媒体の開発や新規な反応性を有する活性種の創出のための基礎研究として低温の希ガス結晶やクラスタ-中にド-プされた簡単な多原子分子ー特に酸素分子ーを解離極限近傍に光励起し後続の光物理過程を研究することを目的としている。光励起により解離極限以上に励起された分子は気相においては単に解離するのみであるが、結晶中にトラップされていると再結合しその一部は発光性の結合状態に遷移する。この過程を吸収法や発光の時間分解、スペクトル分解によって追跡し、結晶等の周囲環境が緩和に果たす役割、および解離に対する一種のケ-ジ効果の発現の仕方を明らかにする。 2.本年度は以下の研究を推進した。(1)希ガス結晶作成装置を用い、O_2をド-プしたAr、Xeなどの低温の結晶を作成する方法を確立した。(2)試作したO_2をド-プしたAr結晶に対して193や247nmのレ-ザ-光励起を行い、その結果生じる発光のスペクトルを詳細に検討した。通常見られるA'ーX発光に加えて高い振動状態にあるcーa発光を見いだした。同定にはフランク・コンドン因子の計算が有効であった。この発光は過渡的なものであり、またその強度は、用いるレ-ザ-光の波長に依存する。以上の実験事実から、Ar結晶中で光励起によって生じた酸素原子の再結合、および振動緩和現象を論じた。以上の結果に基づき、さらに対象を広げることを予定している。特に酸素原子については希ガスとの間のエキシマ-生成について検討を深める必要がある。また同時に結晶に比べて保持力が弱いと予想されるクラスタ-相での現象の比較が重要であり、そのための準備を整えつつある。
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Research Products
(1 results)