1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03453008
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
加藤 重樹 京都大学, 理学部, 教授 (20113425)
|
Keywords | 溶液内反応 / 光化学過程 / 分子理論 / 光誘起電子移動反応 / Norrish typeII反応 / 分子動力学 / 自由エネルギー面 |
Research Abstract |
本研究は平成3年度に開始したが、今年度も引き続き溶液内での光化学過程についての理論的研究を行った。研究の具体的な課題として、先ず、アセトニトリル中でのアントラセンとジメチルアニリンの光誘起電子移動反応を取り上げた。分子軌道計算に基づき決めた中性およびイオン対状態のポテンシャル関数を用いて500個のアセトニトリル分子中での分子動力学計算を行い、アントラセン・ジメチルアニリンの重心間距離と溶媒和座標の2つの自由度に対する反応の自由エネルギー面を求めた。また、溶質分子の拡散係数を計算し、イオン状態では中性状態に比べて拡散係数が小さくなることを示した。更に、2つの電子状態間遷移の相互作用要素を計算し、反応速度定数を求めたが実験結果とよく一致することが分かった。第2の研究課題としてメタノール中でのN,N-ジメチルアミノベンゾニトリル(DMABN)の分子内電荷移動状態生成反応の動力学を取り上げた。本一般研究の主要な目標の一つは溶液内反応に対する反応経路モデルを発展させることであったが、ここでは新しい反応経路ハミルトニアンを導き、その中に含まれる反応自由エネルギー面、溶媒和座標に対する有効質量、摩擦核等を分子動力学計算により求めた。更に、この反応経路ハミルトニアンを用いてDMABNの分子内電荷移動反応の動力学についての考察を行った。今年度行った第3の課題は、極性溶媒中での反応分子の電子状態とエネルギー勾配を計算する方法論についてである。溶媒に連続近似と鏡像近似を導入して溶質分子の電子状態をもとめる新しい計算機プログラムを完成させた。この方法の開発により、溶液内反応の遷移状態の最適化や反応経路を計算することができるようになった。また、光化学過程を問題にするときに必要な透熱表現を求めることができることを示した。
|
-
[Publications] A.Morita: "Potential Energy Surfaces and the Spin-Orbit Coupling for H_20_2 Photodissociation" J.Phys.Chem.96. 1067-1073 (1992)
-
[Publications] H.Sato: "Theoretical Study on the Interaction between a Meta Chelete and a Clay:Monte Carlo Simulation" J.Phys.Chem.96. 9377-9382 (1992)
-
[Publications] H.Sato: "Theoretical Studies on Recemic Adsorption of Tris(1,10-phenanthroline)metal(II) by a Clay:Monte Carlo Simulations" J.Phys.Chem.96. 9382-9387 (1992)
-
[Publications] H.Sato: "Monte Carlo Simulations for the Interactions of Metal Complex with the Silicate Sheets" J.Amer.Chem.Soc.114. 10933-10940 (1992)
-
[Publications] A.Morita: "Theoretical Study on the Intersystem Crossing Mechanism of a Diradical in Norrish Type II Reactions in Solution" J.Phys.Chem.