1992 Fiscal Year Annual Research Report
負イオンクラスターの衝突脱離電子分光法の開発と固体表面相互作用解明への応用
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03453014
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
阿知波 洋次 東京都立大学, 理学部, 助教授 (20002173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 信三 東京都立大学, 理学部, 助手 (10226516)
城丸 春夫 東京都立大学, 理学部, 助手 (70196632)
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Keywords | 炭素クラスター / 固体表面 / 衝突 / 2次電子放出 / 負イオン / フラーレン / 構造異性体 / RHEED |
Research Abstract |
炭素負イオンクラスターをMoS_2単結晶表面に衝突させて、2次電子設出、散乱イオン、基板電流を入射エネルギーの関数として測定した。低い衝突エネルギーで電子放出効率にピークが出現するという新しい現象について詳細に検討を加えた結果、この機構はクラスターのポテンシャル曲面に強く支配されていることがわかった。つまり負イオンと中性のポテンシャル面の交差が低いエネルギーでおきるものは低い衝突エネルギーで電子が脱離するが、一方交差が高いエネルギーで起こる場合には大きな衝突エネルギーが必要であり、その場合電子脱離がターゲット表面のより近傍(又は内側)で起こるため、電子は真空中に放出されず基板に流れると考えると実験事実がうまく説明できる(実際基板電流は電子放出と相補的な関係にあることも確認した。)今後の課題としてはより高いエネルギー分解能で実験を行なうことが重要である。またシリコン単結晶による実験を行なうために、超高真空槽を作成し、本課題で購入したRHEEDを用いてシリコンの表面の評価を行なった。 一方、電子放出のピークがクラスターの構造に非常に敏感であることを利用して、衝突実験からクラスターの構造に関する知見を得ることを試みた。本研究では炭素クラスターをレーザー蒸発法およびフラーレンのレーザー脱着という二種類の方法で発生させて衝突実験を行なった。その結果、電子放出効率はクラスターの発生法によって全く異なっていることがわかった。このことから、レーザー蒸発のように原子からクラスター成長していく場合とフラーレンから分解していく場合で、別の構造のクラスターができている、つまり低温でのクラスター成長ではフラーレンはできない、という重要な結論が得られた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Moriwaki: "Dynamics of cluster-surface interaction:Evidenu of structual isomers of C_<6o>^-" 2.Phys.D.
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[Publications] T.Moriwaki: "Low energy collision of negatine carbon cluster ions with surfaces:Collisional electron detachment." J.Phys.Chem.96. 9092-9094 (1992)
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[Publications] T.Moriwaki: "Dynamics of cluster-surface interaction:Collisional detachment of size selected carbon negative cluster ious." Physics and Chemistry of Finite Systems. 447-452 (1991)
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[Publications] Y.Achiba: "A hypothetical growth of carbon 5/6 network" Material Science and Engineering B,.
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[Publications] H.Shiromaru: "Threshold electron spectra of semiconductor cluster ions" 2.Phys.D,.
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[Publications] Y.Achiba: "Size-and state-selected cluster chemistry" Proc.SPIE. 1638. 44-55 (1992)