1991 Fiscal Year Annual Research Report
延伸ポリマ-フィルム法を用いる反応中間体の偏光過渡吸収・発光スペクトルの研究
Project/Area Number |
03453016
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
平塚 浩士 群馬大学, 工学部, 教授 (00016156)
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Keywords | 反応中間体 / 過渡吸収スペクトル / 発光スペクトル / 延伸ポリマ-フィルム |
Research Abstract |
今年度は偏光過渡吸収および発光スペクトルの測定を行うための装置の構築を主たる目的として研究を行った。このため購入したパルスジェネレ-タ-と窒素レ-ザ-励起の色素レ-ザ-、既存のNd^<3+>:YAGレ-ザ-を組み合わせて光学系の改良と入力・出力信号の遅延時間の設定など測定装置上の工夫を行った。さらに、高分子フィルム中にベンゾフェノン誘導体をド-プし、延伸した後レ-ザ-光を照射することにより生成した三重項分子の偏光過渡吸収スペクトルを測定することを試みた。530nm付近の吸収と600nm付近の吸収帯の分極方向が平行に近いことが明らかになり、600nm付近の吸収帯が電荷移動型の性質を持つことがわかった。この結果は本年7月にベルギ-(ル-ベンス)で開催されるIUPAC(国際純正応用化学連合)の光化学シンポジウムで発表の予定である。また、過渡発光・吸収スペクトル測定の基礎となるデ-タを得るため、フェニルシラン類、トルエン誘導体などを試料として液体窒素温度で光分解し、生成したフェニルシリルラジカルやベンジルラジカル類の発光スペクトル・発光寿命を測定した。その結果これらのラジカルの発光電子状態や他の励起状態についていくつかの興味ある知見が得られた。特にフェニルシリルラジカルの偏光発光スペクトルを測定した結果、対応する炭素化合物であるベンジルラジカルのそれとよく似た偏光度スペクトルが得られ、これらのラジカルの電子状態がよく対応していることが明らかになった。この結果は米国化学会誌J.Phys.Chem.(本年2月)に掲載される予定である。 また、これらの結果は光化学討論会(桐生)、放射線化学討論会(大阪)、分子構造総合討論会(横浜)において発表した。
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