1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03453024
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Research Institution | National Laboratory for High Energy Physics |
Principal Investigator |
田中 健一郎 高エネルギー物理学研究所, 放射光実験施設, 助教授 (90106162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 信雄 千葉大学, 工学部, 助教授 (40111413)
北島 義典 高エネルギー物理学研究所, 放射光実験施設, 助手 (00204892)
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Keywords | 紫外光 / 表面光化学 / 反応動力学 |
Research Abstract |
本研究は、固体表面での化学反応の特異性に着目して、放射光からの真空紫外光を光源とし、超高真空下で固体表面に吸着した分子の光化学反応を、光電子分光法、イオン分光法、発光分光法等を駆使して調べることにより化学反応過程の解明を目的とするものである。今年度では、以下の成果が得られた。 1.現有設備として、すでに設置されている表面素反応用実験装置に、反応で生成した励起種からの発光を検出するためのマルチチャンネル測光システム(SMA)を取り付け、総合動作実験を行った。励起種からの微弱な発光を効率よく集光し、真空チャンバ-外においたイメ-ジ分光器に導くための光学路を工夫し、まず、比較的よく調べられている気相分子で実験した。その後、液体窒素により冷却した試料ホルダ-に吸着した水分子の軟X線励起による光分解生成物からの発光スペクトルを測定し、従来の電子線励起による実験と比較し得る結果が得られた。 2.電子分光及びイオン分光法による実験では、シリコン単結晶表面に単分子層吸着した水分子の軟X線励起イオン脱離反応を中心に調べた。脱離イオンの同定と検出には、最近始まった単バンチ運転よる放射光パルスを利用した飛行時間型イオン分光法を用いた。水分子の酸素K殻電子励起では、主に水素原子イオンと酸素原子イオンが脱離し、その収量スペクトルの形はそれぞれ異なっており、励起エネルギ-に強く依存することが調べられた。同時に測定したオ-ジェ電子収量スペクトルとの比較から、この系でのイオン脱離過程には、種々の電子励起過程が関与しており、その結果生じる多価イオンが重要な役割をしていることを明らかにした。最近行ったイオンーイオン・コインシデンス測定の結果も、この結果を支持している。
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[Publications] S.Terakado: "Photochemical etching of GaAs using synchrotron radiation" Jpn.J.Appl Phys.29. L709-711 (1990)
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[Publications] 田中 健一郎: "放射光パルス利用実験" 放射光(日本放射光学会誌). 4. 29-35 (1991)
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[Publications] K.Kameta: "Absolute measurements of photo absprption cross sections,photo ionization cross sections,and photo ionization quantumyields of silane in the 13-40 ev region." J.Chem,Phys.95. 1456-1460 (1991)
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[Publications] M.Ukai: "Ionizing and non-ionizing decays of superexcited acetylene molecules in the extreme-ultraviolet region." J.Chem.Phys.95. 4142-4153 (1991)
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[Publications] K.Kameta: "Absolute measurements of photo absorption and photo ionization cross sections of disilane in the 13-40 ev region." J.Chem.Phys.95. 6188-6189 (1991)
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[Publications] M.Ukai: "Optical threshold excitation functions of Xe 5s,5p photo ionization satellites near the 5s^<-1> Cooper minimum." Phys.Rev.A. 45. R15-R18 (1991)
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[Publications] I.Koyano(共著分担執筆): "Stateーselected and stateーtoーstate IonーMolecule Reaction Dynamics Part1:Experimental" John Wiley & Sons,Inc., 686 (1992)
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[Publications] K.Tanaka: "Synchrotron Radiation and Dynamic Phenomena" Amer.Inst.Phys., (1992)