1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03453026
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
友田 修司 東京大学, 教養学部, 教授 (30092282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩岡 道夫 東京大学, 教養学部, 助手 (30221097)
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Keywords | フロンティア軌道論 / 軌道相互作用 / ヘテロ元素 |
Research Abstract |
本研究では、ヘテロ元素系における軌道相互作用機構について、実験と理論の両面から第二周期元素系における軌道相互作用との相違点を明かにし、新しい有機化学概念を構築する。具体的には、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、硫黄、セレン、テルルの6元素を中心に、これらの官能基が示す性質を、適当なモデル系を用いて定量的に評価する。本年度は環式ケトンのヒドリド還元における面選択性について、分子軌道法及びエクステリアフロンティア電子広がりモデルを新たに構築し、理論研究を中心に研究を進めるかたわら、これらの研究に必要なコンピュータープログラムを作成した。シクロヘキサノンの還元はアキシャル攻撃が圧倒的に優先することが知られている。この選択性については、これまで種々のモデルが提出されているが、今回、分子表面(van der Waals面)の外部の最低空軌道(LUMO)の波動関数の広がりによって定量的に解釈できることがわかったので、このモデル(エクステリアフロンティア電子広がりモデル)をさまざまなヘテロ原子置換シクロヘキサノン系に適用してみた。その結果、環の立体配座が還元の面選択性を支配しているという意外な事実が判明した。すなわち、LUMOの歪み(カルボニル面上下の軌道の広がりの差)が6員環の微妙な形に支配され、この歪みが面選択性を支配していることがわかった。これは活性化エネルギーの低い化学反応では、反応物質の、分子表面からしみだした波動関数の重なりが面選択性に重要であること示している。本年度は、この研究をすすめる傍ら、エクステリア電子密度を3次元空間分割し、反応の遷移状態と立体選択性との関連を明かにするためのプログラム、および精度の高いスレーター軌道を用いた軌道相互作用を定量的に解析するためのプログラム、の2つの開発を完成させ、研究に利用している。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 友田 修司 岩岡 道夫: "Generation of an electrophilic Selenium speceies in the 1:1 copper(II) cpmplex of a host molecule containing an Se-Se bond." J.Chem,Soc.Chem,Commun.,. 1992. 1165-1167 (1992)
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[Publications] 友田 修司: "Fluoroselenenylation of Alkyhes" Chem.hett.1992. 1507-1509 (1992)
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[Publications] 友田 修司: "A New synthesis of α-fluoro-α、β-unsaturated Ketones and esters based on organoselenium methodology" J.Chem.Soc. Chem.Commun.1992. 231-233 (1992)
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[Publications] 友田 修司: "Asymmetric oxyselenenylation of olefins" chem.Lett. 1992. 1123-1124 (1992)
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[Publications] 友田 修司: "The origin of regioselectivity of SN2 reactions of epoxysilanes" J.Am.chem.Soc.
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[Publications] 友田 修司: "The origin of π-faical stereoselectivity of hydride reduction of cyelic Ketones.An interprepation based on EFOE model." J.Am.Chem.Soc.
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[Publications] 友田 修司: "有機軌道論" 講談社サイエンティフィク, 250 (1993)