1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03453026
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Research Institution | UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
友田 修司 東京大学, 教養学部, 教授 (30092282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩岡 道夫 東京大学, 教養学部, 助手 (30221097)
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Keywords | フロンティア軌道論 / 軌道相互作用 / ヘテロ元素 / グルタチオン / 水素結合 / 面選択性 / 反応選択性 / カルボニル還元 |
Research Abstract |
本年度は,実施計画のテーマを遂行するかたわら,以下にのべるヘテロ元素系の軌道相互作用に関係する生物有機化学関連テーマをとりあげ,論文にまとめた. 1)カルボニル還元の面選択性に関する理論モデルの構築. この問題に関しては,従来さまざまな説が提出されているが(Felkin-Anh Model,Cieplak Modelなど),多くの問題点が残されている.この反応の面選択性の本質がLUMOのエクステリア領域における広がりにあると仮定し,カルボニル面の上下で別々にその広がりを定量的に評価するプログラムを作成して計算したところ,ほとんど例外なく実験事実を説明することができJ.Am.Chem.Soc.に再投稿中.2)16族元素が関与する弱い相互作用の研究. X…H-Y(X=O,S,Se,Te;Y=O,C)系の水素結合,およびSe…Nの非結合性相互作用の性質について分光学的検討を行った.OHと高周期16族元素との水素結合は,意外にもOH…Oより少し弱い程度であった.この研究のなかでC-H…Se水素結合を初めて見い出し,水素結合に軌道相互作用が重要であることが判明した(速報としてJ.Am.Chem.Soc.に近々掲載予定).Se…N非結合性相互作用についても,軌道相互作用が重要であることがわかり,本論文としてJ.Am.Chem.Soc.に投稿中. 3)グルタチオンペルオキシダーゼ作用機構のモデル研究 グルタチオンペルオキシダーゼは活性酸素の還元無毒化触媒を行う極めて重要な酵素であり,活性中心にセレン原子を含み,窒素原子がその周囲に近接している.この近接窒素の役割を活性中心を模倣するモデル化合物を設計合成し,その触媒機構と近接窒素の役割を明らかにした.Se…N非結合性相互作用において,軌道相互作用が重要であることがわかり,本論文としてJ.Am.Chem.Soc.に近々掲載予定である.
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[Publications] 友田修司・岩岡道夫: "A Model Study on the Effect of an Amino Group on the Antioxidant Activity of Glutathione Peroxidase" J.Am.Chem.Soc.116(印刷予定) 未定. (1994)
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[Publications] 友田修司・岩岡道夫: "The First Observation of C-H…Se“Hydrogen Bond"." J.Am.Chem.Soc.116(印刷予定) 未定. (1994)
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[Publications] 友田修司・奥山格編集: "有機反応論の最前線" 東京化学同人(現代化学増刊号), 250 (1995)
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[Publications] 友田修司ほか編集: "有機化学" 廣川書店, 640 (1994)