1991 Fiscal Year Annual Research Report
FABマススペクトロメトリ-による糖類ホストと有機カチオンゲストとの相関
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03453028
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
澤田 正實 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (70029883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高井 嘉雄 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (20127244)
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Keywords | FABマススペクトロメトリ- / 完全メチル化糖類 / 1:1付加イオン / エナンチオ選択性 / 相対ピ-ク強度 / キラルアンモニウム塩 / 電荷・双極子相互作用 / ホストーゲスト相関 |
Research Abstract |
糖類と有機低分子化合物との弱い分子間相互作用の解明は、糖類による有機低分子化合物の構造認識問題、あるいは有機低分子による糖類の構造認識問題の出発点である。われわれは、FABマススペクトロメトリ-を用いて、ある種の単糖類誘導体が、有機カチオン種と1:1付加イオンを形成し、糖類の立体化学的特性に依存した高い選択性を示すことを初めて見いだした。この事象の一般化と応用を目的とし、その複合体形成時の構造認識における支配因子を有機化学的見地より高次解析する。本年度の成果は以下にまとめられる。 (1)FABマススペクトロメトリ-による相対ピ-ク強度値[I(M+A)^+/I(R+A)^+]を指標とし、カチオン種と1:1付加イオンを形成し、かつ、糖類の高い選択性を示す修飾グル-プを検討した。完全Oーメチル化糖(I)、モノOーメチル化糖(II)、完全Oーアセチル化糖(III)、モノNーブチル化糖(IV)で比較した結果、糖類誘導体間の選択性はI>II,IV>IIIと完全メチル化糖の優位性が明らかになった。完全メチル化アルドピラノ-ス系では、βーTal>αーTal>βーMan>αーMan(]SY.gtoreq.〕)βーGal>αーGlc>βーGlcと明確な糖立体構造依存性を示し、アルコキシ酸素とNカチオンとの多点電荷双極子相互作用が支配因子であるホストーゲスト相関を示唆した。MNDOモデル計算結果もこれを支持した。 (2)糖類や有機カチオン種の立体効果を検討した。その結果、(i)2、3位及び5、6位酸素をシクロヘキシリデン保護し、(ii)1位にジオキソラン基を付加したβーマンノフラノシド酸導体が、キラルな1ー(1ーナフチル)エチルアンモニウムイオン種に対して、[I(M+A_R)^+/I(M+A_S)^+]=1.2を与え、ここにFABMSを用いて初めてエナンチオ選択性が検出された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masami Sawada: "1:1 Adduct Ion Formation of Simple Carbohydrate Derivatives with Cations Using FAB Mass Spectrometry.Comparison of OーAcetyl,NーButyl,and OーMethtl Modifications." Bull.Chem.Soc.Jpn.誌.
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[Publications] Masami Sawada: "Enantioselectivity in FAB Mass Spectrometry" J.Am.Chem.Soc.誌.