1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03453033
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐藤 匡 早稲田大学, 理工学部, 教授 (10063504)
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Keywords | 有機スズ化合物 / βスタンニルケトン / 有機合成 / γスタンニルケトン / アルキル転位 / ルイス酸 |
Research Abstract |
我々は有機スズ化合物の特徴的な反応性に着目し、これらの中で、有機合成反応として有用性の高い新反応の開発を主な目的として本研究を行ってきた。スズー炭素結合はカルボアニオン性やラジカル性を示すがそれらの性質は極めて弱く、種々の官能基と自発的に反応することはないが、活性化の手法、活性化される官能基の種類、官能基とスズ原子との相対的な位置、または反応には直接関与しない補助基の存否およびその種類、などによって反応様式が大きく変わることを見出だし、有用性の高い反応を幾つか開発してきた。従来の成果に加えて平成4年度ではつぎの3つの事実が明らかにされた。 1.γスタンニルケトンの反応性:γスタンニルケトンに種々のルイス酸を作用させると、基質の置換型式や、用いたルイス酸の種類により、(1)4員環生成を経由する転位反応、(2)炭素ー炭素結合開裂、(3)15-ヒドリド移動、が選択的に起こることを見出だした。 2.アルキリデンダブルアニオン等価体の反応:従来、メチレンダブルアニオン等価体としてビストリメチルスタンニルメタンを試薬として有用性の高い種々の反応を開発してきたが、相当するアルキリデンダブルアニオン等価体は同じ手法では生成しにくいことが判った。それに代わるものとして、新たにαヨードスタンニルアルキル化合物を合成し、ヨウ素を亜鉛で活性化する手法により目的を達成し、これにより種々の新反応を見出だした。 3.以前新しく見出だした1,2-アルキル転位反応を拡張し双環性化合物合成へのannulation反応に応用した。
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