1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03453034
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
大木 道則 岡山理科大学, 理学部, 教授 (40011407)
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Keywords | アミンのジアゾ化 / 回転異性体の反応 / メチル基による陽イオンの安定化 |
Research Abstract |
本年度は、2ーメチルー2ー(1.4ージメチルー9ートリプチシル)プロピルアミンの酢酸と亜硝酸イソペンチルによるベンゼン中のジアゾ化反応について検討を行なった。予備的な検討の結果、生成するオレフィン類とフリ-デル-クラフツ反応による環状生成物との分離が非常に因難であることが分かっていたので、これらの化合物の別途合成も行なった。ap異性体からは、上記オレフィン類が主成分として得られ、環状化合物と相当する酢酸エステルとが、それぞれ、少量得られた。しかし、9ートリプチシル基が転位することによって生成すると予想されるオレフィンは全く得られなかった。このことから、ジアゾニウム塩から窒素が失われるとき、同時にアルキル基が転位するのでなく、一度カルボニウムイオンを経るものと結論した。一方、sc異性体からは、主成分として、生成したカルボニウムイオンが1位のメチル基に割り込んだ環状生成物が得られた。この化合物の別途合成も行なった。このほか酢酸エステルの生成量が増加し、オレフィンが減少した。この結果は、途中に生成する炭素陽イオンが、メチル基のシグマ電子によって安定化されていることを強く示唆している。理論的には、陽イオンは炭素・炭素結合または炭素・水素結合のシグマ電子に配位出来ることになっているので、その効果がここに現われたものと考えられる。この場合、配位した構造は、種々のものが考えられ、それらの平衡混合物と思われるが、それにしては、1位の酢酸エステルが得られないのが異常である。そのため、相当する位置に陽イオンを発生させる反応を、9ーtーブチルー1ークロロメチルー4ーメチルトリプチセンを用いて予備的に行なった。その結果によれば、炭素陽イオンを1位のメチル基に発生させると、予想のとおり、炭素・水素結合への割り込みによる、同じ環状化合物が得られることが分かった。今後、置換基の影響をさらに検討することにしたい。
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[Publications] M.Oki: "How Do Ethane-Type Molecules Avoid Eclipsing When Forced as Such?The Case of 7,8,9,10-Tetrachloro-1,1-dimethyl-1,2,6,10b-tetrahydro-6,10b-o-benzenoaceanthrylene" Chem.Lett.273-276 (1992)
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[Publications] M.Oki: "Syntheses and Molecular Structures of Srbstituted 1,1-Dimethyl-1,2,6,10b-tetrahydro-6,10b-o-benzenoaceanthrylene" Bull.Chem.Soc.Jpn.
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[Publications] M.Oki: "Syntheses of and Restricted C_<sp>3-C_<sp>2 Bond rotation in Triptycenes That Carry C_4-Olefinic Substituent at 9-Position" Bull.Chem.Soc.Jpn.
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[Publications] M.Oki: "Reactivities of Stable Rotamers.XXXI.Diazotization of 2-(1,4-Dimethyl-9-triptycyl)-2-methylpropylamine Rotamers" Bull.Chem.Soc.Jpn.