1992 Fiscal Year Annual Research Report
環境水中の極微量元素のスペシエーションとその新しい分離濃縮法に関する研究
Project/Area Number |
03453039
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
多賀 光彦 北海道大学, 理学部, 教授 (90000778)
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Keywords | フミン酸 / 銅 / 化学修飾電極 / 界面活性剤 / 溶出ボルタンメトリー / 銀(I) / リポ酸 |
Research Abstract |
フミン酸と銅との相互作用:高感度でかつ操作の迅速簡便を期待してASVによるフミン酸共存下での遊離の銅の測定について検討を行った。フミン酸が共存するとフミン酸が電極表面へ吸着銅(II)イオンの測定を妨害する。そこでフミン酸の吸着を防ぐため、種々の界面活性剤の添加効果について比較検討を行い、ドデシル硫酸ナトリウ(SDS)の添加が最も効果的であることを見いだした。このことは、電気毛管曲線による検討からSDSの電極表面への強い吸着によりフミン酸の吸着を防ぐことによることがわかった。この手法は高感度で10^<-7>M程度の銅(II)化学種の定量が可能である。フミン酸中の官能基群と銅の結合サイトとの関連性を明らかにするために、フミン酸ならびにモデル化合物(EDTA、フェニルアラニンなど)のpHおよび伝導度滴定曲線の比較を行い、一方、フミン酸の元素分析、IRスペクトルの情報から官能基を推測し、結合サイトとの関連を明らかにした。さらに、フミン酸の銅錯形成能力のイオン強度依存性を検討し、イオン強度の増加にともない銅錯形成能力が増加することを明らかにし、熱力学的安定度定数を評価した。 化学修飾電極による溶出ボルタンメトリー:2.2'-ジチオジピリジンを修飾とした電極で、銀(I)を濃縮すると、銀(I)はジスルフィド基との相互作用により過塩素酸イオンを対イオンとして電極上に濃縮される。濃縮された銀(I)を還元したのち、その酸化波を測定することで銀を高感度に定量することができた。また、ニッケルはチオールやジスルフィド基を含む有機物と錯体を形成するので、ニッケル(II)ーシクロヘキシル酪酸塩で修飾した電極を用いてリポ酸の電気化学的挙動についての考察を行った。リポ酸はニッケル(0)ーリポ酸錯体として電極上に濃縮されるので、このニッケル(0)の酸化波を測定することで定量された。また、修飾する有機酸金属塩の種類よって電極反応が異なることも判明した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] M.Kan: "Fluorophotometric Determination of Phosphate after Collection on a Membrane as the Ion Pair ofMolybdophosphate with Rhodamine 6G" Anal.Sciences. 7. 87-91 (1991)
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[Publications] K.Sugawara: "Accumulation Voltammetry of Copper(II) Using a Carbon Paste Electrode Modified With Di-8-quinolyl Disulphide" Anal.Sciences. 116. 131-134 (1991)
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[Publications] K.Sugawara: "Voltammetric behavior of cysteine by a chemically modified carbon paste electrode with copper(II)-cyclohexylebutyrate" J.Electroanal.chem.316. 305-314 (1991)
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[Publications] K.Sugawara: "Voltammetric behavior of cysteine by a carbon-paste electrode containing a cobalt(II)-cyclohexylebutyrate" Bioelectrochemistry and Bioenergetics. 26. 469-474 (1991)
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[Publications] M.Kan: "Enrichment of copper in Environmental Water Samples on a Membrane Filter and Determination by Graphite Furnace Atomic Absorption Spectrometry" Anal.Sci.7. 1115- (1991)
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[Publications] M.Fukushima: "Effect of sodium dodecylsulfate on measurement of labile copper(II) species in the presence of humic acid by aodic striping voltammetry" Anal.Chim.Acta. 270. 153-157 (1992)
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[Publications] 多賀 光彦: "教養の現代化学" 三共出版, (1991)
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[Publications] 多賀 光彦: "実験化学講座 分析" 丸善, (1991)