1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03453053
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中村 幸雄 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (20047012)
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Keywords | クラスタ-錯体 / ピコリル架橋錯体 / パラジウム(I) / 金属ー金属結合 / 有機金属錯体 |
Research Abstract |
μーピコリルPd(I)クラスタ-を中心に以下のような成果を収めた。 1.まず、トランスー[PdCl_2(SET_2)_2]に2ーピコリルリチウムを反応させ、4員環のビス(ピコリル)錯体[Pd(picーN,C)_2](1)を反応中間体として単離する試みを行なった。しかし、ー78°Cの低温で(1)と思われる黄土色沈殿を得たものの,窒素雰囲気下でも極めて不安定で単離には至らなかった。 2.そのため、反応容器中に(1)を生成させたのち、in situでPdo価錯体[Pd(PPh_3)_4]を反応させ、oneーpot反応として[Pd_4(pic)_4ー(PPh_3)_2]の組成をもつ黄色錯体(2)を得た。 3.錯体(2)は、我々が先に得ている複核のピコリル架橋Pd(II)錯体[{Pdcl(picーN,C)(PPh_3)}_2]にピコリルリチウムを反応させても得られることが判った。 4.錯体(2)は当初想定したPd(I)ーPd(I)複核錯体[Pd_2(picーN,C)_2ー(PPh_3)_2]の組成と異なっている。本年度当研究費補助金で購入した核磁気共鳴装置を含め、^1H,^<13>C,^<31>P NMR、分子量測定そのほかによるキャラクタリゼ-ションの結果、Pd(I)ーPd(I)間に単結合と供与結合を交互にもつ4核Pd(I)クラスタ-であることが判った。 5.錯体(2)の構造解析は望ましい単結晶が成長しないため行っていない。また、無機、有機基質との反応性についても、得られた錯体の予想に反した構造のため今のところ実行していない。 6.しかし、錯体(2)はCDCl_3中、その金属ー金属結合にCDCl_3のCーCl結合が酸化的付加する興味ある反応を示すことが見いだされ、それについては目下、継続研究中である。
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