1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03453053
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中村 幸雄 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (20047012)
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Keywords | 2,6-ルチジンージイル架橋錯体 / パラジウム多核錯体 / 混合金属錯体 / 縦並び型4核錯体 |
Research Abstract |
2,6-ルチジンの関与したPd(II)多核錯体の合成と反応に関して、以下の結果を收めた。 1、2,6-ビス(クロロメチル)ピリジン(L)をPd(PPh_3)_4(M)に対して、トルエン中、100℃で1:1のモル比に反応させたところ、2,6-ルチジン-α,α′-ジイル基がC,N架橋した複核Pd(II)錯体1およびC,N,C′架橋した4核Pd(II)錯体2が低収率で得られた。 2、複核錯体1および4核錯体2の收率を高めるべく種々の反応条件を検討した結果、錯体1はL:M=1.3:1のとき、また、錯体2はL:M=1:2のとき、それぞれ56,39%の最良收率で得られた。 3 錯体2はいったん単離した錯体1にMを1:2のモル比に反応さたせときにも得られ、收率は48%であった。同じく錯体1にPt(PPH_3)_4を反応させると、2,6-ルチジン-α,α′-ジイル基がC,N,C′架橋した混合金属4核錯体3が得られた。 4 分子量測定、NMRおよびマススペクトルにより、それぞれC,N架橋、C,N,C′架橋の構造が決定されたが、特に4核錯体は、4金属原子が縦並び型に配列した新しい型のものであることが判明した。 また、3についてはPd-Ptの組み合せの異なる3種の異性体の混合物から成ることが明らかにされた。 5 縦並び型4核錯体2は、内側と外側のそれぞれ2つのPd中心で異なった配位環境にあり、配位子置換反応その他の反応で反応の様子が異なる。例えば、トリフルオロ酢酸銀との反応では外側の2つのPd原子に配位しているCl原子が置換され易く、同じような傾向はジホスフィンでのPPh_3の置換についても見られた。一方、塩素原子をTl(acac)で引き抜くと、4核構造が壌れ、Pd複核錯体になることが判明した。
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