1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03453054
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 良 東京大学, 理学部, 助教授 (40011762)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角和 善隆 東京大学, 教養学部, 助手 (70124667)
荻原 成騎 東京大学, 理学部, 助手 (50214044)
|
Keywords | 炭酸塩岩 / 同位体組成 / カソードルミネッセンス / 海水準変動 / カルサイトセメント / ストロンチウム |
Research Abstract |
1.カソードルミネッセンス装置(Luminoscope)による炭酸塩岩の組織観察 1)ゴトランドのシルル系石炭岩:Marine cementと初期のvadose cementはルミネッセンスを発しない(nonluminescent)のに対し、vadose cementの末端部は良く光り(bright luminescent)、セメントの沈澱が進むにしたがって間隙水が還元的になったと考えられる。Vadose cementとfreshwater phreatic cementには累帯構造を示すセメント(zoned cement)が見られる。これは、地下水の化学組成、酸化還元状態が変動したことを示す。 2)ネパールヒマラヤのジュラ系石炭岩:オーライトを作るカルサイトは鈍く光るが、オーライトの周囲を縁どるMarine cementは全く発光しない。間隙を埋めるスパーリーセメントは鈍く光る。しかしゴトランドの様に規則的な累帯構造を示すものは希である。鈍く光るセメントの中に明るく光る部分が不規則に分布する。 2.酸素、炭素、ストロンチウム同位体組成の分析 ジュラ系オーライト質石炭岩のオーライトとスパーリーセメントのそれぞれについて酸素、炭素同位体組成の測定を行なった。炭素については一定の傾向は認められなかったが、酸素は一般にオーライトの方が2-5パーミル重い傾向がある。これは、スパーリーセメントが淡水或は淡水と海水が混合した間隙水から沈澱したことを示唆する。Non-luminescentのmarine cementは非常に細粒でオーライトからの分離が難しいため同位体分析は成功していない。サブカドロマイトは予想通り重く、濃縮した海水(+1パーミル)を仮定すると、約40度Cで生成したと見積もられる。一方埋没ドロマイトは天水、地下水で希釈された海水から更に高温で沈澱したと考えられる。ドロマイト化の水の起源については、ストロンチウム同位体比の分析からも同様の結論が得られた。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 松本 良: "炭酸塩1ジュールから読む埋没続成史と日本海古環境" 月刊・地球. NO.6. 254-257 (1992)
-
[Publications] 松本 良: "コロキウム「炭酸塩と地球環境」" 堆積学研究会報. 37号. 101-103 (1992)
-
[Publications] MATSUMOTO,Ryo: "Diagenetic dolomite, calcite, rhodochrosite, magnesite and lansfordite from Site 799,Japan Sea." Proc.O.D.P.,Sci.Results. 127/128. 75-98 (1992)
-
[Publications] MATSUMOTO,Ryo: "Causes of the oxygen isotopic dipletion of interstitial waters from Sites 798 and 799,Japan Sea,Leg 128" Proc.O.D.P.,Sci.Results. 127/128. 697-703 (1992)
-
[Publications] 荻原 成騎: "大分県玖珠盆地産出の非海成燐酸塩1ジュール" 資源地質(Mining Geology). 42. 249-257 (1992)