1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03453063
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
一瀬 英爾 京都大学, 工学部, 教授 (10025918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 弘泰 京都大学, 工学部, 助手 (10238602)
諸岡 明 京都大学, 工学部, 講師 (20026008)
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Keywords | FeーCa合金の熱力学 / CaOの溶解度積 / Caの活量係数 / CaーOの相互作用 |
Research Abstract |
本研究は鋼中非金属介在物の制御や連続鋳造時のタンディッシュノズル詰まりの防止に利用されるCaの溶鉄中での熱力学挙動を明らかにしようとするものであり次のような実験を行った。 1.1550℃においてFe(1)ーAg(1)間のCaの分配平衡実験を行い、両相のCa濃度を求め、溶触AgーCa合金中のCa活量の報告値を用いて系のCa活量を決定し、溶鉄中のCa活量の濃度依存性を決定する。 2.鉄中Caの存在形態の検討と、その定量へのSIMS(二次イオン質量分析法)の応用の可能性の検討を行い次の結果を得た。 1.溶融Caの飽和溶解度は従来の報告値とほぼ一致する。 2.溶融AgーCa合金のCa活量については従来いくつかの値が報告されている。これらの値は相互に比較的大きく異なっている。いずれを取るかによって溶鉄中のCa活量の組成依存性は変わって来る。しかし、AgーCa合金のCa活量についていずれの値を取るにせよ、溶鉄中のCa活量は希薄濃度域で、原点と飽和溶解度を結ぶ直線から負に変位することが明かとなった。従来、飽和濃度までHenry則に従うとされていた溶鉄中のCa活量の濃度依存性を修正すると、無限希薄溶液の活量系数γ°が小さくなり、CaOの解離平衡CaO=Ca+Oの濃度積の熱力学計算値と実測値との差が小さくなる。一方CaのCaに対する相互作用助係数の値が負に大きくなる。AgーCa合金のCa活量についてより正確な測定方法を調査中である。 3.採取した鉄試料中のCaは、本実験における冷却条件のもとでは金属カルシウムとして折出していることが分かった。金属Ca粒の分布の均一性と、SIMS分析におけるスイ-プ面積の大小との関係がSIMS分析の可能性を決定するので、試料作成時の冷却速度を大きくする小型坩堝の採用を検討中である。
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