1991 Fiscal Year Annual Research Report
Kelvin法と水晶振動子秤量(QCM)法による室内微量腐食計測法の研究
Project/Area Number |
03453066
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
水流 徹 東京工業大学, 工学部, 教授 (20092562)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西方 篤 東京工業大学, 工学部, 助手 (90180588)
|
Keywords | 大気腐食 / 液薄膜 / Kelvin法 / 拡散限界電流 / 水膜 / 電子部品 / 水晶振動子秤量法 / QCM |
Research Abstract |
本研究は機能材料,特に電子部品材料等の室内での微量腐食速度と腐食反応機構を調べるための新しい計測方法を開発することを目的とし,通常の溶液中での腐食研究とは異なった条件に対する測定法を確立しようとするものである. 本年度は(1)Kelvin法による腐食電位の測定,(2)Kelvin法による分極曲線の測定,(3)QCMによる腐食速度の測定を計画した. (1)Kelvin法による腐食電位測定では,スピ-カ-のボイスコイルを用いた振動電極では,浮遊容量により正確な電位の測定ができないことを理論と実験により確認し,電極間距離を変えて測定することによりこれを解決した.Kelvin法によって測定された電極電位は従来の参照電極である飽和KCl/AgCl/Ag電極(SSE)によるものと E_<Kelvin>=1.19E_<SSE>+0.84 の関係があった.また,鉄および銅電極に薄い水膜を作りその乾燥過程における電位の変化をKelvin法により測定したところ,水膜が厚い間は低い電位に保たれるが,水膜が数十μm以下になると電位が300〜400mV急上昇し,その後再び安定する.この電位変化は水膜を通しての酸素の拡散電流の増加と溶出したイオンの飽和にともなう不働態化によって説明された. (3)QCMによる腐食速度の測定では,溶液中および空気中での微少重量変化(<1ng)の測定が可能なプロ-ブを作成し,銅電極上に形成する10nm以下のきわめて薄い酸化物/水素化物皮膜の生成と還元における重量変化を測定できることが示され,鉄およびステンレス鋼の不働態皮膜(<数nm)についても予備的な実験を行った.
|