1992 Fiscal Year Annual Research Report
燃焼による長寿命気相ラジカルの発生機構と制御に関する基礎的研究
Project/Area Number |
03453091
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田村 昌三 東京大学, 工学部, 教授 (30114557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿久津 好明 東京大学, 工学部, 助手 (30175814)
新井 充 東京大学, 工学部, 助教授 (30232028)
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Keywords | 気相ラジカル / 燃焼スモーク / ESR / スピントラッピング法 |
Research Abstract |
可燃物の燃焼から新たな有害性物質として、高反応性であるにもかかわらず見かけ上長寿命の酸素中心気相ラジカルの生成が報告されているが、その発生機構をESRスピントラッピング法を用いて調べ、また、その抑制法について検討を行なっている。まず、燃焼実験装置を用いて、各種可燃性物質について燃焼実験を行い、ESRを用いて気相ラジカルの解析を行なうことにより、気相ラジカル発生挙動に及ぼす基質や燃焼条件の影響を検討した。代表的可燃物であるポリプロピレン(PP)について、電気炉温度と酸素濃度を変えてラジカル生成挙動を観察した結果、発火が見られない酸素濃度ではラジカル量が増加することが明らかになった。また、炉温が高い場合にはラジカル量は減少するが、600℃以上では低酸素濃度でもラジカル濃度が高いことから、気相ラジカル生成機構においてポリマー中の主鎖の切断によるアルキルラジカルの生成過程が重要であることが示唆された。さらに代表的可燃物についてガスクロマトグラフやFT-IRなどで燃焼・熱分解生成物の詳細な検討を行なっている。また、火災実験における気相ラジカル発生挙動の検討にも着手している。 シガレットスモークおよび可燃物の燃焼スモークが酸素タンパクや生体抗酸化剤であるグルタチオンに含まれるチオールであるシステインの酸化を引き起こす可能性をHPLC-エルマン法により検討し、気相ラジカルがシステインの急激な酸化を引き起こし、生体に酸化ストレスを与える可能性があることを明らかにした。また、可燃物の燃焼から生成する気相ラジカル抑制法の検討のため、スピン付加物に添加剤を加え、ESRでラジカル生成挙動を観察しているが、一般にラジカル反応抑制効果があるとされていたジフェニルアミンが条件によってはラジカル反応を促進する可能性があることを見出した。
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Research Products
(1 results)