ルテニウム錯体触媒に特有な選択的炭素骨格形成新反応の開発

1991 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 03453094
• Research Institution: Kyoto University
• Principal Investigator: 渡部 良久 京都大学, 工学部, 教授 (70025956)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 近藤 輝幸 京都大学, 工学部, 助手 (20211914) ; 光藤 武明 京都大学, 工学部, 助教授 (90026344)
• Keywords: ルテニウム錯体 / 触媒 / ホモアリルアルコ-ル / 棒状多環化合物 / 〔2+2〕付加反応 / 芝二量化反応 / 炭素骨格形成反応 / ジエン

Research Abstract

ルテニウム錯体触媒に特有な選択的炭素骨格形成反応を開発することを目的として、1)C_1化学第一次生成物であるアルデヒドおよびケトンを原料とする。アリル化合物との反応によるホモアリルアルコ-ルの合成法の確立2)アルキル置換芳香族化合物の新合成法の確立3)剛直な分子構造を有する棒状多環化合物の合成法の確立4)ポリエンの新合成法の開発を検討した。その結果1)アルデヒドのアリル化合物の付加反応が広く一般的に起こることを見出した他、電子求引基を有するケトンへのアリル化合物の求核付加反応を見出した。2)芳香族化合物のアルキル化反応において,ルテニウム錯体触媒に特徴的な異性体比となることを見出した。3)ノルボルネン類とアセチレン類との〔2+2〕付加反応を検討しDielsーAlder反応と組み合わせることにより,15環化合物の合成に成功した。これまで、アセチレンジカルボン酸エステルのみが有効であったが、ヘキサフルオロー2ーブチンも適用できることが明らかになった。さらに、クロロ(ペンタメチルシクロペンタジェニル)(オレフィン)ルテニウム錯体を用いると、ジフェニルアセチレン,6ードデシン等,これまで適用不可能であったアセチレン類に高い触媒活性を示すことが明らかとなった。この反応はルテニウム(II)【double half arrows】(IV)の触媒サイクルで反応が進行するものと考えられ、新しい型の触媒反応である。4)Ru(COD)(COT)(COD=シクロオクタジエンCOT=シクロオクタトリエン)を触媒に用い、アセチレンとオレフィンとの反応を検討し,高収率、高選択的に鎖状芝=量化反応が進行することを見出した。また,ジェンと電子ボ引基を有するオレフィンとの反応を検討し、ジェンとモノエンとの鎖状芝=量化反応が選択的に進行することを見出した。さらに、ハロゲン化ビニルとオレフィンとのカップリングに反応がルテニウム錯体触媒により進行することを見出したがこの反応はpdでは反応しない,塩化ビニル類も適用できることが分った。

Research Products

• [Publications] Takeーaki Mitsudo: "Ruthenium Complexーcatalyzed Highly Selective Coーdimerization of Acetylenes and Alkenes" J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,. 598-599 (1991)
• [Publications] Teruyuki Kondo: "RutheniumーCatalyzed Allylation of Peimary Alcohols by Allylic Acetates:A Novel Synthesis ofα,βーUnsaturated Ketones" J.Org.Chem.,. 56. 488-489 (1991)
• [Publications] Takeーaki Mitsudo: "Ruthenium ComplexーCatalyzed Coupling of Vinyl Halides with Olefins" J.Oraganomet.Chem.,. 423. 405-414 (1992)
• [Publications] Takeーaki Mitsumoto: "Ruthenium Complexーcatalyzed Selective Syntheses of3,5ーDienoic Acid Derivatives by Coupling of 1,3ーDienes or Allylic Carbonates with Acrylic Compounds" Tetrahedron Letters. 33. 341-344 (1992)