1992 Fiscal Year Annual Research Report
7または8族遷移金属錯体によるC-H結合の選択的活性化と有機合成への応用
Project/Area Number |
03453099
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小宮 三四郎 東京農工大学, 工学部, 教授 (00111667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福岡 淳 東京農工大学, 工学部, 講師 (80189927)
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Keywords | ルテニウム / レニウム / 酸化的付加 / シアノ酢酸エステル / アルドール反応 / マイケル型反応 / エノラート |
Research Abstract |
昨年度、ルテニウム錯体を触媒とする高選択的アルドール型およびマイケル型反応の活性中間体を単離し、その構造と若干の化学反応性について明らかにした。今年度は引きつづきこの触媒反応機構を明らかにするため、動力学的に検討した。その結果、系中にはルテニウムエノラート錯体が存在し、これと求電子試薬であるアルデヒド位置選択的に反応するものと推定された。また、シアノ基を有さない2、4-ペンタンジオンから誘導されるエノラート錯体も同様の構造を有するが、求電子試薬とは反応しないことが明らかとなり本触媒反応の基質選択性を裏付けた。またこのアルドール型触媒反応における三級ホスフィンの効果を明らかにするため、Ru(cod)(cot)/PR_3系とα-シアノカルボン酸エステルの反応を試みた結果、この系も触媒となり、さらに活性中間体も単離できた。 また、ヒドリド(二窒素)テトラキス(ジメチルフェニルホスフィン)レニウム(エ)とα-シアノカルボン酸エステルとの反応からレニウムエノラート錯体を単離し、その構造も明らかにした。この錯体では分子間での水素結合が結晶中で認められ、エノラートの高い求核体性を示唆した。これらの錯体もα-シアノカルボン酸エステルのアルドール型およびマイケル型反応の触媒となることから、触媒反応の活性中間体と考えられる。さらにこのレニウムエノラート錯体とベンズアルデヒドとの反応では、アルドール型反応における最終生成物、シアノケイ皮酸エステルがレニウムに配位した錯体が単離された。 以上これらの触媒反応ではシアノ基の遷移金属への配位が重要であることがわかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Sanshiro Komiya: "Synthesis,Structure and Properties of Dimethyl(alkoxy-carbonyl) gold(lll) Complexes Having a Triphenylphosφne Ligand" J.Organomet.Chem.428. 303-313 (1992)
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[Publications] Sanshiro Komiya: "Selective Formation and Reactions of Tetraalkylaurates(lll)" J.Organomet.Chem. 433. 337-351 (1992)
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[Publications] Sanshiro Komiya: "Isolation of Tetraalkylaurates(lll) Having a Tetralkyl-ammonium Cation." Inorg.Chem.31. 3168-3169 (1992)
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[Publications] Sanshiro Komiya: "Isolation of Highly Nucleophilic Gold(l) Alkoxides Having a Tertiary Phosphine Ligand." J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1109-1110 (1992)
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[Publications] Sanshiro Komiya: "Isolation of a Zerovalent Iron Dinitrogen COmplex with 1,2-Bis(diethylphoshpino) ethane Ligand." J.Chem.Soc.,Chem.Commun.
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[Publications] 福岡 淳: "季刊化学総説No.17「前周期遷移金属の有機化任学」(分担)" 学会出版センター, 220 (1993)