1991 Fiscal Year Annual Research Report
ラマン散乱法による高分子水溶液中におけるイオン性基間相互作用に関する研究
Project/Area Number |
03453111
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊勢 典夫 京都大学, 工学部, 教授 (00025868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 秀樹 京都大学, 工学部, 助手 (40165783)
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Keywords | ラマン散乱 / 水素結合 / ポリアクリルアミド / ポリアクリル酸 / 因子分析法 / コンボリュ-ション法 |
Research Abstract |
本年度においては,イオン性高分子溶液系を調査する前に,電荷を持たない中性高分子溶液の基礎的情報を得ることが先沢と半断し,まず以下の実験を行った。すなわちポリアクリルアミドの重水系置換物およびその低分子同族体であるアセトアミド,ピロピオンアミド,nーブチルアミドのD_2O溶液についてラマンスペクトルの測定を行った。1550cm^<ー1>から1750cm^<ー1>に観察される吸収を,因子分析法,デコンボリュ-ション法により解析し,C=O伸縮振動にもとずくとされている吸収に,3ケの独立のピ-クが含まれていることを結論した。これらピ-クの強度のアミド濃度依存性を検討し,この結果1つのピ-クは,アミド基の水素原子と他の分子のカルボキシル基の酸素の間に形成される線型の水素結合に由来していることを明らかにした。また他の1つは,二つのカルボキシル基間に形成される水素結合と類似の,環状の水素結合によることが結論された。残りの1つは,未会合のアミド基のC=O伸縮振動と考えられる。 以上の非イオン性高分子につづいて,典型的イオン性高分子であるポリアクリル酸とその低分子同族体である酢酸,プロピオン酸,グルタル酸のH_2Oおよび重水素置換体のD_2O溶液についての測定を行い,C=0伸縮振動によるスペクトルが,水素結合した二量体カルボキシル基によるものと,未会合のカルボキシル基に由来するものに分離できることを明らかにした。この情報を基礎にして,二量化会合定数を評価し,ポリアクリル酸が低分子同族体より小さい会合定数を持つことを明確にした。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] N.Tanaka,K.Ito,H.Kitano,and N.Ise: "Raman Spectroscopic Study of Hydrogen Bonding of Polyacry I amide in Heavy Water" Macromolecules.